営業(正社員)の求人相場
このページは「平均年収」の統計ではなく、いま実際に掲載されている求人の提示額を実査した定点観測データです。今この職種に応募したら、求人票にどんな数字が並んでいるかが分かります。
この数字が指しているもの
上の数字は手当・固定残業代を含んだ総額提示の求人だけを集計した値です(営業職の求人ではこの書き方が最も多く、求職者が最初に目にする額です)。 同じ職種でも同じ求人の内訳にある基本給で出している求人は水準が異なり、月給下限の中央値は20.5万円(n=171・上の総額提示のうち、内訳から基本給の額を読み取れた171件(94%)。別の求人ではなく同じ求人の内訳です)。 表記の違う求人どうしを同じ土俵で比べないでください。 給与の内訳を判別できなかった5件は、どちらにも入れず集計から除外しています。
| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
|---|---|---|
| 求人票に出ている提示額(手当・固定残業代込み) | 171件 | 23万円 |
| その内訳にある基本給 | 171件 | 20.5万円 |
| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
|---|---|---|
| 固定残業代あり/提示額 | 78件 | 25万円 |
| 固定残業代なし/提示額 | 104件 | 22.5万円 |
| 固定残業代あり/基本給 | 70件 | 20万円 |
| 固定残業代なし/基本給 | 101件 | 21万円 |
| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
|---|---|---|
| 首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉) | 28件 | 25万円 |
| 甲信越・北陸・北関東 | 28件 | 23万円 |
| 中国・四国・九州・沖縄 | 28件 | 23万円 |
| 関西・東海 | 30件 | 22.5万円 |
| 北海道・東北 | 28件 | 22万円 |
| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
|---|---|---|
| 首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉) | 28件 | 21万円 |
| 中国・四国・九州・沖縄 | 28件 | 21万円 |
| 甲信越・北陸・北関東 | 28件 | 20.5万円 |
| 関西・東海 | 30件 | 20万円 |
| 北海道・東北 | 28件 | 18万円 |
| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
|---|---|---|
| 不動産(公的職業紹介) | 12件 | 26万円 |
| 無形商材(公的職業紹介) | 39件 | 23万円 |
| 有形商材(公的職業紹介) | 91件 | 22.5万円 |
| 有形商材(大手総合求人サイト) | 24件 | 25.5万円 |
| 無形商材(大手総合求人サイト) | 14件 | 23.5万円 |
実査で見えたこと
- 営業職の求人に出ている月給は、その多くが「基本給+営業手当+固定残業代」の合計額です。内訳まで読み取れた171件では、提示額の下限の中央値23.0万円に対し、基本給の中央値は20.5万円でした(差額の中央値2.5万円・95%信頼区間 2.0〜3.5万円)。基本給が提示額に占める割合は中央値89%で、171件中89件が9割を切り、11件は7割も切ります。最も低い求人は提示21.0万円に対し基本給7.0万円(33%)でした。一方で提示額と基本給が完全に同額の求人も45件(26%)あり、営業職の求人は「額面がそのまま基本給の求人」と「額面の2〜3割が手当の求人」に割れています。
- その乖離を作っている正体は固定残業代です。固定残業代のある求人の提示額下限は中央値25.0万円(信頼区間 23.5〜26.0万円)、ない求人は22.5万円(22.0〜23.0万円)で信頼区間が重なりません。この向きは2つの媒体それぞれの中でも、5つの地域ブロックすべてでも同じでした。ところが同じ求人の基本給で並べ直すと、固定残業代ありが20.0万円・なしが21.0万円と上下が入れ替わります。基本給が提示額に占める割合も81%対98%です。差額そのものを比べると、固定残業代ありは5.0万円(4.5〜5.5万円)、なしは0.5万円(0〜1.0万円)で信頼区間が重なりません。つまり固定残業代のある求人の月給が高く見えるのは、基本給が高いからではなく残業代を先に含めて見せているからです。固定残業代の額の中央値は4.5万円、想定時間数の中央値は25時間で、4分の1は31時間以上、最長は60時間でした。なお固定残業代の記載率は媒体で倍近く違い(公的職業紹介34.5%・大手総合求人サイト72.5%)、民間の求人サイトで見かける高めの月給ほどこの構造である確率が高くなります。
- 前回(2026-07-21)は「地域による差は小さく、はっきりしない」と書きましたが、今回はそう読めませんでした。北海道・東北が最も低いことは2つの媒体で一致し、媒体を固定して比べると首都圏25.0万円に対し北海道・東北22.0万円で信頼区間が重なりません。この差は商材を有形だけに揃えても、未経験可の求人だけに絞っても、普通自動車免許必須の求人だけに絞っても、年間休日120日以上だけに絞っても残りました。同じ求人の基本給で並べ直しても順位は変わりません(首都圏21.0万円・北海道・東北18.0万円)。前回それが見えなかったのは、当時使った媒体では求人数の少ない県の検索結果が勤務地の広い求人に占められており、どのブロックでも同じ求人を採っていたためだと考えられます。ただし固定残業代のない求人だけに絞ると信頼区間が重なるため、この地域差の一部は固定残業代の厚さの差です。また首都圏が単独で最上位かどうかは媒体を変えると入れ替わり、中間の3ブロックの順位は確定していません。
- 前回の「無形商材のほうが有形商材より2万円高い」も、今回は再現しませんでした。公的職業紹介では無形23.0万円・有形22.5万円ですが、大手総合求人サイトでは有形25.5万円・無形23.5万円と上下が逆になります。地域ブロック別に見ても関西・東海だけ向きが逆で、全国の信頼区間も重なります。公的職業紹介で最も高いのは不動産(26.0万円)ですが、これも同じ求人の基本給で並べ直すと20.0万円で3区分の最下位に落ちます(基本給が提示額に占める割合82%)。商材の違いは、月給の高さそのものよりも手当の積み方の違いとして現れています。
- 経験の有無は、月給の下限ではなく上限のほうに出ます。実査した182件のうち160件(88%)が未経験を受け入れており、下限の中央値は経験必須25.0万円・未経験可23.0万円で信頼区間が重なります。一方で上限額は経験必須35.0万円・未経験可31.0万円で、5ブロック中4ブロックで同じ向きでした。普通自動車免許はさらに極端で、182件中153件(84%)が必須ですが、必須の求人も不問の求人も下限の中央値は23.0万円で完全に一致します。営業職の求人票では、免許や経験の要件は下限額をほとんど動かしていません。
この職種の求人票の読み方
営業職の求人票は、掲示された月給が「何をいくら含んだ額か」で意味が大きく変わります。実査から見えた、確認すべき順番は次の通りです。
- まず固定残業代の有無を探す。これが最重要です。実査では固定残業代のある求人の提示額が中央値25.0万円、ない求人が22.5万円と2.5万円の差がありましたが、同じ求人の基本給で並べ直すと20.0万円対21.0万円で逆転しました。提示額が相場より高い求人は、その差が固定残業代で埋まっているだけのことがあります。固定残業代の額の中央値は4.5万円、想定時間数の中央値は25時間で、最長は60時間でした。何時間分なのか、超過分は別途支給されるのかまで書かれているかを確認してください。
- 次に月給の内訳を探す。内訳を確認できた171件では、基本給が提示額に占める割合は中央値89%、9割を切る求人が半数を超え、最も低い求人は33%でした。一方で26%の求人は提示額と基本給が完全に同額です。求人票に「基本給」「営業手当◯円」「固定残業代◯円(◯時間分)」の記載があるかを見てください。公的職業紹介の求人票は基本給(a)・定額的に支払われる手当(b)・固定残業代(c)が分けて書かれているため、同じ会社の求人が民間サイトにも出ている場合は突き合わせると内訳が分かります。
- 基本給が効いてくる場面を意識する。賞与や退職金は基本給を基準に計算する会社が少なくありません。提示額が同じ25万円でも、基本給21万円の求人と基本給15万円の求人では、賞与の月数が同じでも受け取る額が変わります。どちらを採用しているかは求人票の賞与欄の書き方(「基本給の◯ヶ月分」など)で確認できます。
- 上限額はインセンティブ達成時の数字だと考える。上下限が書かれた165件では、上限は下限の中央値1.38倍、幅の中央値は8.5万円でした。入社時に約束されるのは基本的に下限側です。上限に近い額を受け取るための条件(インセンティブの支給基準・達成率)を面接で確認しておくと、入社後の差を減らせます。なお求人サイトの見出しに出る上限額には、給与欄の本文には書かれていない理論値が入っていることがあります。
- 「未経験可」「要普通自動車免許」は条件の目印にならない。実査した求人の88%が未経験可、84%が普通自動車免許必須で、いずれも下限額の中央値に差が出ませんでした(免許必須も不問も23.0万円で一致)。経験の有無が効くのは上限額のほう(経験必須35.0万円・未経験可31.0万円)です。要件欄よりも、固定残業代と内訳を見るほうが金額の判断材料になります。
- 比べる相手は「同じ地域」の求人にする。媒体を固定して比べると首都圏25.0万円・北海道・東北22.0万円で、この差は商材や経験要件を揃えても残りました。一方で商材(有形/無形/不動産)による差は媒体を変えると上下が入れ替わり、はっきりしません。
あわせて、賞与の「実績」(規定ではなく実績)・インセンティブの支給実績・年間休日数・直行直帰や社用車の有無を見ると、同じ月給でも実際の手取りと働き方の差が判断できます。年間休日は実査した求人の中央値が120日、最も少ない求人で88日でした。
この調査の限界(お読みください)
- 媒体は公的職業紹介と大手総合求人サイトの2つに固定し、5つの地域ブロックすべてを同じ構成で採取しました(公的職業紹介28〜30件+大手総合求人サイト10〜15件)。地域の比較には、媒体の影響を避けるため媒体を1つに固定した集計を使っています。ただし後者はブロックごとの採取数が6〜15件とやや揃わず、この媒体単独の地域別中央値は参考値です。
- 民間の求人サイトを選ぶ前に、候補4媒体で「求人数の少ない県(鳥取・高知・福井・秋田)の検索結果に、4県すべてに共通して出てくる求人がどれだけ含まれるか」を実測しました。大手総合転職サイト3つでは52〜84%が4県共通で、勤務地が全国の求人が県別一覧を占拠していました。これらを使うと全ブロックが同じ求人を採ることになり、地域差が人工的に消えます。今回採用した媒体は同指標が2%で、県内所在地の求人が並ぶことを確認しています。集約系サイトは公的職業紹介の再掲を含むため除外しました。
- 求人サイトの掲載順は有料掲載の影響を受けるため、完全な無作為抽出ではありません。1ページ目に偏らないよう2ページ目以降からも採取していますが、掲載されていない求人(非公開求人など)は含まれていません。
- 基本給の内訳が読み取れた割合は媒体で大きく違います(公的職業紹介100%・大手総合求人サイト73%)。後者は給与欄の書式が新旧2種類あり、旧書式では基本給が出ないためです。この欠測は求人の性質ではなく書式の差なので、提示額と基本給の対応比較は媒体を分けても算出しました(差額の中央値は公的職業紹介2.0万円・大手総合求人サイト4.6万円)。
- 検索結果の一覧では、日給制・時給制の求人も月額に換算して表示されます。採用した求人はすべて求人票の賃金形態欄を開いて「月給」であることを確認しました(確認の過程で日給制・時給制・年俸制が実際に混入していました)。なお賃金形態欄が「月給」でも特記事項に「日給月給(欠勤控除あり)」と書かれた求人があり、これは除外しています。
- 同一企業が支店・営業所ごとに同じ給与条件で求人を出しているケースがあり、同一都道府県内の同一給与のまとまりは1件に名寄せしました(首都圏では29件がこの理由で落ちています)。ただし名寄せの単位に都道府県を含めているため、県をまたいで同じ給与で出稿している企業は複数件として残ります(実査中に同一法人と確認できたものが1組ありました)。名寄せの判定には掲載内容からの推定が含まれます。
- 提示額が手当込みか基本給のみかを判別できなかった5件は、どちらの系列にも入れていません。また「基本給のみの提示(諸手当は別途支給)」と明記された13件は、測定量が違うため総額提示の系列には混ぜていません。この13件は媒体・ブロックによる偏りがあり(大手総合求人サイトに集中し、甲信越・北陸・北関東ブロックが6件と多い)、判定基準がブロック間で完全には揃っていない可能性があります。
- 公的職業紹介の求人票は正規化すると必ず総額提示になるため、「手当込みか基本給のみか」を媒体をまたぐ比較軸には使っていません。
- 上限額には、給与欄の本文ではなく求人サマリーにインセンティブ達成時の理論値が入っている求人があります。本文に上限の記載がない場合は上限なしとして扱いました。
- 地域ブロックのうち、北海道・東北が最も低いことは2つの媒体で一致しましたが、首都圏が単独で最上位かどうかは媒体を変えると入れ替わります。中間の3ブロックの順位も確定していません。
- 2026-07-21 の前回実査とは媒体の選び方・金額の採り方の定義が変わっているため、前回の数字との差をそのまま相場の変動として読むことはできません。
- 経験必須の求人は21件、不動産の求人は14件と少なく、これらの層の数字は参考値です。
- 月給の下限のみを集計しています。営業職で金額が大きく動く賞与・インセンティブの実績額は含んでいないため、年収の比較にはそのまま使えません。
実査方法: 複数の求人検索サイトで公開されている営業の正社員求人200件(全国47都道府県・重複排除後)の月給表記を、地域5ブロックに分けて実査(2026-08-09時点)。地域と媒体が交絡しないよう全ブロックを同一の媒体構成で採取したうえで、給与表記を「手当込みの総額提示」と「基本給のみ提示」に分けて集計し、中央値の95%信頼区間はブートストラップ法(20,000回)で算出/数値は実査時点の集計であり、個別の求人・企業を示すものではありません。/公表値は中央値の信頼区間が支持する精度に合わせ、5,000円単位に丸めています。
給与の数字だけでなく「職場のリアル」も確かめてから応募したい方へ。リクプルは働く人のインタビューと募集要項をセットで掲載しています。
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