事務(一般事務・営業事務・経理事務ほか/正社員)の求人相場
このページは「平均年収」の統計ではなく、いま実際に掲載されている求人の提示額を実査した定点観測データです。今この職種に応募したら、求人票にどんな数字が並んでいるかが分かります。
この数字が指しているもの
上の数字は手当・固定残業代を含んだ総額提示の求人だけを集計した値です(事務の求人ではこの書き方が最も多い)。 同じ職種でも基本給のみの提示(手当・残業代は別途と明記)で出している求人は水準が異なり、月給下限の中央値は21.5万円(n=31・件数が31件と少なく、判定が媒体によって割れるため参考値です)。 表記の違う求人どうしを同じ土俵で比べないでください。 給与の内訳を判別できなかった28件は、どちらにも入れず集計から除外しています。
| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
|---|---|---|
| 求人票に出ている提示額(手当・固定残業代込み) | 44件 | 20.5万円 |
| その内訳にある基本給 | 44件 | 19万円 |
| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
|---|---|---|
| 首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉) | 10件 | 22.5万円 |
| 関西・東海 | 10件 | 21万円 |
| 甲信越・北陸・北関東 | 10件 | 21万円 |
| 中国・四国・九州・沖縄 | 10件 | 19.5万円 |
| 北海道・東北 | 10件 | 18.5万円 |
| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
|---|---|---|
| 民間の求人サイト① | 16件 | 24.5万円 |
| 民間の求人サイト② | 18件 | 22.5万円 |
| 公的職業紹介(求人票に給与の内訳あり) | 50件 | 20.5万円 |
| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
|---|---|---|
| 未経験可 | 20件 | 21.5万円 |
| 経験はあれば尚可 | 15件 | 20.5万円 |
| 経験必須 | 8件 | 19.5万円 |
| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
|---|---|---|
| 営業事務 | 9件 | 21.5万円 |
| 経理・会計事務 | 12件 | 20.5万円 |
| 医療・調剤事務 | 7件 | 20万円 |
| 一般事務 | 18件 | 19万円 |
| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
|---|---|---|
| 固定残業代あり | 9件 | 22万円 |
| 固定残業代なし | 31件 | 20.5万円 |
実査で見えたこと
- 事務の求人は、提示されている月給の幅が他の職種より際立って狭いのが特徴です。上下限とも書かれた75件では、上限は下限の中央値1.24倍、幅は中央値5.0万円でした。半数近い37件は幅が5万円未満で、3件は上限と下限が同額です。同じ方法で実査した施工管理は1.61倍・16.5万円、営業は1.40倍・10.0万円だったので、事務の「〜◯◯万円」は比較的現実に近い数字だと読めます。裏を返すと、求人票の時点で示されている伸びしろも他職種より小さいということです。
- 提示額と基本給の差は、事務では小さく出ました。内訳を確認できた44件のうち48%(21件)は手当が乗っておらず、提示額がそのまま基本給です。基本給は提示額の中央値98%で、差が4万円以上あったのは7件(16%)にとどまりました。総額提示の求人と基本給のみの求人で中央値がどちらも21.5万円と一致したことも、同じことを別の角度から示しています。介護職では両者が3.0万円ずれ、施工管理では乖離の大きい求人が36%あったのに対し、事務は手当を厚く乗せて見た目を作る求人が少ない職種です。ただし最も乖離した求人では提示額と基本給の差が10.2万円ありました。
- 同じ「事務」でも、どこで探すかによる差が地域差と同じくらい大きく出ています。媒体別の中央値は民間の求人サイトで24.5万円・22.5万円、公的職業紹介で20.5万円と4万円の開きがあり、信頼区間も重なりません。地域のほうは、媒体を固定すると首都圏22.5万円に対し北海道・東北18.5万円で、この2つは信頼区間が重ならない差です。別の媒体に固定しても首都圏・関西東海が上位、北海道・東北が最下位という順序は変わりませんでした。ただし関西・東海/甲信越・北陸・北関東/中国・四国・九州の中間3ブロックは信頼区間が重なり、順位は確定できていません。
- 経験を求める求人ほど下限が高い、という形にはなっていませんでした。媒体を固定して比べると、未経験可の求人が21.5万円、「経験はあれば尚可」が20.5万円、経験必須が19.5万円と、通説とは逆の順序です。信頼区間はすべて重なるため「未経験可のほうが高い」と言い切ることもできませんが、少なくとも経験年数が下限を押し上げる形にはデータが動いていません。実査した143件のうち97件(68%)が未経験可で、事務は経験の有無より求人そのものの設計で下限が決まっています。
- 事務の区分(一般事務・営業事務・経理事務など)で相場を語ることはできませんでした。全体をプールすると一般事務が21.5万円で中位に見えますが、これは民間サイトに一般事務の求人が集中していることの反映です。媒体を公的職業紹介に固定して比べ直すと、一般事務は19.0万円で4区分中の最下位に落ちます。この一般事務18件のうち6件が北海道・東北の求人で、区分ごとに勤務地の構成が違うためです。施工管理で建築と土木の差が勤務地構成の交絡だったのと同じ構図で、区分の差と地域の差は切り分けられていません。
この職種の求人票の読み方
事務の求人票は、給与欄の幅が狭いぶん「どこに出ている求人か」で金額が大きく動きます。実査から見えた、確認すべき順番は次の通りです。
- 比べる相手は「同じ媒体に出ている求人」にする。今回の実査では、媒体による中央値の差が4万円あり、信頼区間も重なりませんでした。地域差(首都圏22.5万円・北海道東北18.5万円)と同じかそれ以上の大きさです。同じ会社が複数のサイトに出稿していることもあるので、他サイトの数字や他県の求人と比べても判断材料になりにくくなります。まずは同じサイトに並んでいる求人どうしで見比べてください。
- 下限を実額として読んでよい職種です。上下限とも書かれた75件で、上限は下限の中央値1.24倍・幅は5.0万円。半数近くが幅5万円未満でした。施工管理(1.61倍・16.5万円)のように上限が遠い目標値になっている職種とは違い、事務の提示レンジは入社時の実額に近いと考えて差し支えありません。ただし同時に、求人票の時点で示されている昇給の幅も小さいということなので、昇給実績や賞与の支給月数を別途確認する価値があります。
- 固定残業代は「額」と「時間数」をセットで見る。額まで確認できた38件では、固定残業代の中央値は3.1万円、想定時間数の中央値は20時間でした。30時間以上に設定された求人が10件、40時間以上も4件あります。事務は所定時間内で終わる想定の職種と受け取られやすいぶん、40時間分の固定残業代が入っている求人は、実際の働き方が想定と違う可能性を面接で確認したほうが安全です。なお内訳が読める媒体では、固定残業代ありの求人が22.0万円・なしが20.5万円で、その差はおおむね固定残業代の額に対応しています。
- 月給の内訳を探す。内訳を確認できた44件では、48%(21件)が提示額=基本給で、基本給は提示額の中央値98%でした。事務は手当の上乗せが薄い職種ですが、最も差が大きい求人では10.2万円の開きがありました。賞与や退職金を基本給基準で計算する会社では、同じ提示額でも受け取る額が変わります。公的職業紹介(ハローワーク)の求人票は基本給(a)・定額的に支払われる手当(b)・固定残業代(c)が分けて書かれているので、同じ会社の求人が民間サイトにも出ている場合は突き合わせると内訳が分かります。
- 経験年数と区分で相場を決めつけない。媒体を固定すると、未経験可21.5万円・経験尚可20.5万円・経験必須19.5万円と、経験を求める求人のほうがむしろ低く出ました(信頼区間は重なります)。事務の区分も、一般事務は全体では中位ですが媒体を揃えると最下位になり、勤務地構成の差と切り離せません。「経理なら相場がいくら上がる」という読み方より、その求人が任せようとしている範囲(一人経理か分業か、使用する会計ソフト、月次決算まで担うか)を求人票の業務内容欄で確認するほうが実際的です。
あわせて、年間休日数・残業の実績時間・在宅勤務の可否・産休育休の取得実績を見ると、同じ月給でも働き方の差が判断できます。事務は提示額の幅が狭い職種なので、給与欄だけで差がつきにくいぶん、この4点が実質的な比較軸になります。
この調査の限界(お読みください)
- 求人サイトの掲載順は有料掲載の影響を受けるため、完全な無作為抽出ではありません。1ページ目だけに偏らないよう複数サイト・複数ページ・都道府県別の検索から採取していますが、掲載されていない求人(非公開求人など)は含まれていません。
- 地域と媒体が交絡しないよう、5ブロックすべてで媒体構成を揃えて採取しました(各ブロックで3媒体を各10件)。それでも媒体による差は地域による差と同じかそれ以上に大きく、民間の求人サイト2つと公的職業紹介では中央値が4万円違い、信頼区間も重なりません。他サイトの数字とそのまま比べないでください。
- 月給の内訳(基本給がいくらか)を開示するかどうかは媒体によって極端に差があり、内訳を取得できた割合は、公的職業紹介の求人票が50件中40件(80%)だったのに対し、民間の求人サイトは93件中4件(4%)でした。提示額と基本給の対応比較44件は、その40件が前者の求人です。
- 「手当込みの総額提示」か「基本給のみの提示」かの判定は、公的職業紹介の求人票では給与欄の構造から機械的に決まりますが、民間の求人サイトでは求人票の書きぶりに依存します。実査時にブロックごとで判定が割れたため、公的職業紹介の求人(正規化すると定義上つねに総額提示)は19件を総額提示に統一しました。民間サイト分は「手当の扱いに言及がない」求人を判別不能として集計から外しており、この線引きはブロックによってやや揺れています。副系列(基本給のみ提示)は参考値として扱ってください。
- 給与の内訳が書かれておらず、手当込みか基本給のみかを判別できなかった28件は、どちらの系列にも入れず集計から除外しています。
- 同一企業が事業所ごとに同じ給与条件で多数の求人を出しているケースがあり、そのまま数えると相場が歪みます。同一給与・同一都道府県・同一区分のまとまりを1件に名寄せしたうえで(2件を削除)、さらに同一媒体で固定残業代の額と時間数まで一致する求人を同一法人のひな型とみなして名寄せしました(5件を削除)。後者は掲載内容からの推定を含みます。
- 実査できたのは30都道府県で、全都道府県は網羅していません。また民間の求人サイトでは勤務地が「全国47都道府県」「関東・関西・東海」といった広域表記の求人が掲載の大半を占め、都道府県を特定できないため除外しています。その結果、単一の県に絞れる求人だけが残り、媒体ごとに県の構成が偏りました(首都圏の民間サイト①は10件中9件が東京都、福岡県・北陸3県・秋田県はこの媒体から採取できていません)。
- 地域ブロック別・経験要件別・事務の区分別の数字は、媒体を固定すると各層が10件前後になり信頼区間が広くなります。首都圏と北海道・東北の差以外は信頼区間が重なっており、順位そのものは参考値です。
- 「事務」の検索結果には受付・秘書・コールセンターなど、事務作業が中心ではない求人が混ざります。職種および事務の区分の判定には採取時の判断が入っています。実査中に確認した月給60万円の秘書求人のように、区分の境界にある高額求人も存在します(この求人は判別不能として主系列には含まれていません)。
- 年収のみで示す求人、時給制・日給制の求人は月給が読み取れないため今回の集計から外れています。パート・アルバイト・派遣・契約社員は対象外で、一覧では正社員と見えても詳細で「正社員(無期雇用派遣)」だった求人は除外しています。
- 月給下限のみを集計しています。賞与・昇給・住宅手当・資格手当の実績額は含んでいないため、年収の比較にはそのまま使えません。
実査方法: 複数の求人検索サイトで公開されている事務の正社員求人143件(全国30都道府県・重複排除後)の月給表記を、地域5ブロックに分けて実査(2026-07-23時点)。地域と媒体が交絡しないよう全ブロックで媒体構成を揃えたうえで、給与表記を「手当込みの総額提示」と「基本給のみ提示」に分けて集計し、中央値の95%信頼区間はブートストラップ法(20,000回)で算出/数値は実査時点の集計であり、個別の求人・企業を示すものではありません。/公表値は中央値の信頼区間が支持する精度に合わせ、5,000円単位に丸めています。
給与の数字だけでなく「職場のリアル」も確かめてから応募したい方へ。リクプルは働く人のインタビューと募集要項をセットで掲載しています。
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