看護師・准看護師(正社員/常勤)の求人相場
このページは「平均年収」の統計ではなく、いま実際に掲載されている求人の提示額を実査した定点観測データです。今この職種に応募したら、求人票にどんな数字が並んでいるかが分かります。
この数字が指しているもの
上の数字は手当・固定残業代を含んだ総額提示の求人だけを集計した値です(看護師の求人では資格手当・処遇改善手当が月給に組み込まれるため、この書き方が大半です)。 同じ職種でも基本給のみの提示(手当は別途と明記)で出している求人は水準が異なり、月給下限の中央値は24万円(n=6・6件しかなく、信頼区間も22.5万〜33.5万と極端に広いため参考値です)。 表記の違う求人どうしを同じ土俵で比べないでください。 給与の内訳を判別できなかった12件は、どちらにも入れず集計から除外しています。
| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
|---|---|---|
| 求人票に出ている提示額(手当・固定残業代込み) | 104件 | 24万円 |
| その内訳にある基本給 | 104件 | 20万円 |
| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
|---|---|---|
| 首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉) | 13件 | 27.5万円 |
| 関西・東海 | 11件 | 25万円 |
| 甲信越・北陸・北関東 | 13件 | 23.5万円 |
| 中国・四国・九州・沖縄 | 13件 | 23万円 |
| 北海道・東北 | 11件 | 22万円 |
| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
|---|---|---|
| 公的職業紹介(求人票に給与の内訳あり) | 61件 | 24万円 |
| 医療・介護系の求人サイト | 50件 | 24万円 |
| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
|---|---|---|
| 夜勤なし | 29件 | 25万円 |
| 夜勤あり | 32件 | 24万円 |
| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
|---|---|---|
| 訪問看護 | 9件 | 25.5万円 |
| 介護施設・老健・特養 | 13件 | 24.5万円 |
| 病院 | 27件 | 24万円 |
| クリニック・診療所 | 12件 | 24万円 |
| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
|---|---|---|
| 看護師(正看護師)必須 | 37件 | 25万円 |
| 准看護師でも応募可 | 24件 | 23万円 |
実査で見えたこと
- 看護師は、求人票に出ている提示額と基本給の差が、これまで実査したどの職種よりも大きい職種でした。内訳を確認できた104件の対応比較で、提示額の中央値24.0万円に対し基本給の中央値は20.0万円。差額の中央値は3.3万円(95%信頼区間2.7万〜4.0万円)で、104件のうち提示額と基本給が同額だった求人は1件もありませんでした。基本給は提示額の中央値86%、最も乖離した求人では51%です。同じ方法で実査した事務は基本給が提示額の98%・48%の求人が同額、介護職でも差は3.0万円だったので、看護師はその上をいきます。資格手当・処遇改善手当・ベースアップ手当が定額手当として必ず月給に組み込まれる、この職種特有の構造がそのまま数字に出ています。
- その一方で、「どこで探すか」による差はほとんどありませんでした。公的職業紹介と医療・介護系の求人サイトで中央値はどちらも24.0万円、信頼区間も大きく重なります。事務では媒体間で4万円の差が出て信頼区間も重ならず、施工管理では媒体を変えると地域の順位が入れ替わってしまったのと対照的です。看護師は媒体をまたいで同じ相場が観測できる、実査した中では例外的な職種です。
- 媒体差が小さいおかげで、地域差はこれまでで最もはっきり確認できました。媒体を1つに固定すると首都圏27.5万円に対し北海道・東北22.0万円で、この2つは信頼区間が重なりません。もう一方の媒体に固定しても首都圏が30.5万円で最上位、下位2ブロックが21.5〜22.0万円と順序は変わりませんでした。媒体をまたいで同じ順序が再現された点で、施工管理(媒体を変えると順位が入れ替わる)や事務(中間3ブロックが未確定)より確度の高い地域差です。ただし中間ブロックどうしの信頼区間は今回も重なっています。
- 夜勤のある求人のほうが提示額が高い、という形にはなっていませんでした。媒体を固定して比べると夜勤なし25.0万円・夜勤あり24.0万円で、むしろ夜勤なしのほうが高く出ています(信頼区間は重なります)。これは夜勤が評価されていないという意味ではなく、二つの理由があります。ひとつは施設区分との交絡で、夜勤なしの求人は訪問看護とクリニックに集中しており(49件中33件)、この層はもともと提示額が高めです。もうひとつは書式の問題で、公的職業紹介の求人票では夜勤手当は「その他の手当等」欄に書かれ、月給レンジには含まれません。つまり夜勤の対価は、多くの求人で提示額の外側にあります。
- 固定残業代を使う求人が少ないのも特徴です。有無を確認できた108件のうち、固定残業代ありは11件(10%)にとどまりました。事務や施工管理では月給に固定残業代を組み込む求人が目立ちますが、看護師の月給を押し上げているのは固定残業代ではなく資格手当・処遇改善手当・ベースアップ手当です。なお固定残業代がある11件では、額の中央値4.0万円・想定時間数の中央値20時間でした。
この職種の求人票の読み方
看護師の求人票は、月給の額そのものより「その額が何でできているか」で判断が変わる職種です。実査から見えた、確認すべき順番は次の通りです。
- 提示額の内訳を必ず探す。ここが最重要です。内訳を確認できた104件で、提示額と基本給が同額だった求人は1件もありませんでした。基本給は提示額の中央値86%、差額の中央値は3.3万円、最も乖離した求人では基本給が提示額の51%です。賞与を「基本給の◯ヶ月分」で計算する医療機関は多いので、同じ月給28万円でも基本給23万円の求人と基本給18万円の求人では、年収に数十万円の差がつきます。退職金や時間外の割増単価も基本給基準です。公的職業紹介(ハローワーク)の求人票は基本給(a)・定額的に支払われる手当(b)・固定残業代(c)が分けて書かれているので、気になる法人の求人がそちらにも出ていないか確認すると内訳が読めます。
- 夜勤手当が月給に入っているのか、別建てなのかを確認する。実査では、夜勤なしの求人のほうが提示額の中央値がむしろ高く出ました。多くの求人で夜勤手当は月給レンジの外側にあり、「夜勤◯回込み」と書かれた求人と「夜勤手当1回◯円」と別建てにする求人が混在しているためです。前者は提示額に夜勤分が織り込まれているので、夜勤回数が減れば手取りも下がります。求人票の月給を比べる前に、どちらの書き方なのか・想定夜勤回数は月何回かを揃えてください。訪問看護は日勤のみでもオンコール当番があり、こちらも手当が別建てのことが大半です。
- 正看護師と准看護師のレンジが1本に畳まれていないか見る。「月給21万〜34万円」のような広いレンジの求人は、下限が准看護師・上限が正看護師という書き方であることが実査で数多く見られました。この場合、自分の資格に対応する額はレンジの片側だけです。今回の実査でも、資格要件別の中央値は媒体によって差が出たり出なかったりで、信頼区間が重なるため「正看護師なら相場がいくら上がる」とは言えませんでした。レンジの真ん中を自分の期待値として読むのは危険です。
- 地域差は実在します。ただし比べる相手は同じブロック内に。媒体を固定した比較で首都圏27.5万円・北海道東北22.0万円と、信頼区間の重ならない差が出ました。媒体を変えても順序は同じです。看護師は媒体による差がほとんどない職種なので、他サイトの数字と比べても大きくは狂いませんが、地域をまたいだ比較は5万円規模でずれます。転居を伴う転職では、生活費の差と合わせて判断してください。
- 固定残業代は少数派。ある場合は額と時間数をセットで見る。有無を確認できた108件のうち固定残業代ありは11件(10%)で、看護師は月給の積み上げ方が他職種と違います。ただし該当する11件では額の中央値4.0万円・想定時間数の中央値20時間で、30時間以上の設定も含まれていました。看護師の残業は記録に残りにくい業務(申し送り・記録・委員会活動)で発生しやすいため、固定残業代の時間数が実際の残業と合っているかは面接で確認する価値があります。
あわせて、看護配置基準(7対1・10対1など)・夜勤体制(2交代か3交代か、月の夜勤回数)・年間休日数・有給取得率を見ると、同じ月給でも働き方の差が判断できます。看護師は提示額の内訳と夜勤条件で実収入が大きく変わるため、給与欄の数字だけを並べても比較になりません。
この調査の限界(お読みください)
- 求人サイトの掲載順は有料掲載の影響を受けるため、完全な無作為抽出ではありません。1ページ目だけに偏らないよう複数サイト・複数ページ・都道府県別の検索から採取していますが、掲載されていない求人(人材紹介会社が抱える非公開求人など)は含まれていません。看護師は非公開求人の比率が高い職種とされるため、この点は他職種より影響が大きい可能性があります。
- 使用した媒体は2つだけです。他の職種の実査で使っている総合転職サイト2媒体は、事前検証の時点で看護師の掲載が全国100件台しかなく(北海道1件・大阪15件など)、5ブロックすべてで同じ件数を採取することが不可能でした。媒体構成を全ブロックで揃えるほうを優先し、この2媒体は使っていません。媒体を増やすと数字が動く可能性は残ります。
- 月給の内訳(基本給がいくらか)を取得できた割合は、公的職業紹介の求人票が65件中65件(100%)、医療・介護系の求人サイトが64件中45件(70%)でした。提示額と基本給の対応比較104件は、この内訳が読めた求人です。
- 「手当込みの総額提示」か「基本給のみの提示」かの判定は、公的職業紹介の求人票では給与欄の構造(基本給a+定額的に支払われる手当b+固定残業代c)から機械的に決まります。求人サイト側は求人票の書きぶりに依存するため、手当が月給に含まれるのか別途支給なのか読み取れない12件は、どちらの系列にも入れず集計から除外しました。除外はすべて求人サイト側で、公的職業紹介からは0件です。
- 看護師の求人は、正看護師と准看護師を1つの月給レンジに畳んで「下限=准看護師・上限=正看護師」と書く形式が非常に多く見られました。この場合、基本給は下限に対応する准看護師側の額を記録しています。下限と上限で資格の前提が違う求人が含まれる点は、レンジ幅を読むときの注意点です。
- 同一法人が事業所ごとに同じ給与条件で求人を出しているケースがあり、そのまま数えると相場が歪みます。同一媒体で提示額・基本給・固定残業代の額と時間数まで完全に一致する求人を同一法人のひな型とみなして名寄せしました(1件を削除)。この判定は掲載内容からの推定を含みます。
- 実査できたのは34都道府県で、全都道府県は網羅していません。地域ブロック別・施設区分別・資格要件別の数字は、媒体を固定すると各層が10件前後になり信頼区間が広くなります。首都圏と北海道・東北の差以外は信頼区間が重なっており、順位そのものは参考値です。訪問看護(9件)は特に薄い層です。
- 夜勤の有無別の数字は、施設区分の構成差と切り離せていません。夜勤なしの49件のうち33件が訪問看護・クリニックで、夜勤ありの求人は病院に集中しています(病院48件中44件が夜勤あり)。層別変数どうしが交絡しているため、「夜勤がないほうが高い」と読まないでください。
- 副系列(基本給のみの提示)は6件しかなく、規約が定める n≥10 を満たしていません。参考値として扱ってください。
- 対象は正社員・常勤のみです。パート・アルバイト・派遣・契約社員・非常勤・夜勤専従は除外しています。年収のみで示す求人、時給制・日給制の求人は月給が読み取れないため今回の集計から外れています。看護助手・保健師/助産師の専任求人も対象外です。
- 月給下限のみを集計しています。夜勤手当(1回あたりの支給が別建てになっている求人が大半)・オンコール手当・賞与・住宅手当の実績額は含んでいないため、年収の比較にはそのまま使えません。夜勤回数の想定は求人ごとに違います。
実査方法: 複数の求人検索サイトで公開されている看護師・准看護師の正社員(常勤)求人129件(全国34都道府県・重複排除後)の月給表記を、地域5ブロックに分けて実査(2026-07-24時点)。地域と媒体が交絡しないよう全ブロックで媒体構成を揃えたうえで、給与表記を「手当込みの総額提示」と「基本給のみ提示」に分けて集計し、中央値の95%信頼区間はブートストラップ法(20,000回)で算出/数値は実査時点の集計であり、個別の求人・企業を示すものではありません。/公表値は中央値の信頼区間が支持する精度に合わせ、5,000円単位に丸めています。
給与の数字だけでなく「職場のリアル」も確かめてから応募したい方へ。リクプルは働く人のインタビューと募集要項をセットで掲載しています。
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