このページは「平均年収」の統計ではなく、いま実際に掲載されている求人の提示額を実査した定点観測データです。今この職種に応募したら、求人票にどんな数字が並んでいるかが分かります。
月給下限の中央値21万円95%信頼区間 20.8万円〜21万円(n=2949)
求人の中央50%が収まる帯19.5万円〜23万円上下25%ずつを除いた「よくある帯」
現実的な期待値の目安25.3万円各求人のレンジ中央の中央値
この数字が指しているもの
上の数字は手当を含んだ総額提示(基本給+毎月定額で支払われる手当+固定残業代)の求人だけを集計した値です(溶接工の求人票では、月給欄の3分の2が手当を含まず基本給と同額でした)。 同じ職種でもその求人票の内訳に書かれている基本給で出している求人は水準が異なり、月給下限の中央値は20万円(n=2949・主系列と同じ2,949件すべての内訳。独立した別の求人群ではなく、同じ求人の内訳です)。 表記の違う求人どうしを同じ土俵で比べないでください。
提示額と基本給の対応比較(2,949件・同じ求人どうし)※実査職種の中で最も差が小さい職種です| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
|---|
| 求人票に出ている提示額(定額手当・固定残業代込み) | 2949件 | 21万円 |
| その内訳にある基本給 | 2949件 | 20万円 |
必要な経験別(提示額の月給下限)※月給欄に確実に効いている要件です| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
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| 実務経験が必須 | 621件 | 22.5万円 |
| 経験があれば尚可 | 849件 | 21万円 |
| 経験不問 | 1479件 | 20.11万円 |
同じ経験要件を「内訳にある基本給」で見ると(2,949件)※差は残ります| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
|---|
| 実務経験が必須 | 621件 | 22万円 |
| 経験があれば尚可 | 849件 | 20万円 |
| 経験不問 | 1479件 | 20万円 |
同じ経験要件を「月給レンジの上限額」で見ると| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
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| 実務経験が必須の求人の上限額 | 621件 | 30.1万円 |
| 経験があれば尚可の求人の上限額 | 849件 | 30万円 |
| 経験不問の求人の上限額 | 1479件 | 28.2万円 |
溶接資格の要否(提示額の月給下限)※この差は下の表のとおり経験要件との交絡で説明できます| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
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| 溶接資格が必須 | 92件 | 22.1万円 |
| 溶接資格はあれば尚可 | 456件 | 21万円 |
| 溶接資格の記載なし | 2401件 | 20.8万円 |
同じ分け方を「実務経験が必須の求人」だけに絞って見ると ※資格の有無で差がなくなります| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
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| 溶接資格の記載なし | 428件 | 22.71万円 |
| 溶接資格が必須 | 70件 | 22.6万円 |
| 溶接資格はあれば尚可 | 123件 | 22万円 |
地域ブロック別(提示額の月給下限)| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
|---|
| 首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉) | 343件 | 23万円 |
| 関西・東海 | 849件 | 22万円 |
| 甲信越・北陸・北関東 | 678件 | 20万円 |
| 中国・四国・九州・沖縄 | 688件 | 20万円 |
| 北海道・東北 | 391件 | 20万円 |
同じ地域ブロックを「内訳にある基本給」で見ると(2,949件)※提示額では並んでいた北海道・東北が、基本給では単独で下に離れます| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
|---|
| 首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉) | 343件 | 22万円 |
| 関西・東海 | 849件 | 21万円 |
| 甲信越・北陸・北関東 | 678件 | 20万円 |
| 中国・四国・九州・沖縄 | 688件 | 20万円 |
| 北海道・東北 | 391件 | 19.04万円 |
同じ地域ブロックを「月給レンジの上限額」で見ると ※下限より差が開きます| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
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| 首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)の上限額 | 343件 | 33.5万円 |
| 関西・東海の上限額 | 849件 | 30万円 |
| 甲信越・北陸・北関東の上限額 | 678件 | 29.45万円 |
| 中国・四国・九州・沖縄の上限額 | 688件 | 28万円 |
| 北海道・東北の上限額 | 391件 | 27.648万円 |
業種別(提示額の月給下限)| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
|---|
| 建設・プラント工事(現場での溶接) | 415件 | 22万円 |
| 造船・鉄道車両ほか輸送用機械 | 83件 | 21.7万円 |
| その他(機械修理・整備・卸売ほか) | 324件 | 21万円 |
| その他の金属製品・金属加工 | 582件 | 20.78万円 |
| 建築用金属製品(鉄骨・製缶板金) | 401件 | 20.78万円 |
| 産業機械・機械器具製造 | 935件 | 20.5万円 |
| 自動車・同部品 | 201件 | 20.4万円 |
同じ業種を「月給レンジの上限額」で見ると ※現場での溶接は下限より上限で開きます| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
|---|
| 建設・プラント工事(現場での溶接)の上限額 | 415件 | 35万円 |
| その他(機械修理・整備・卸売ほか)の上限額 | 324件 | 30万円 |
| 建築用金属製品(鉄骨・製缶板金)の上限額 | 401件 | 30万円 |
| 産業機械・機械器具製造の上限額 | 935件 | 29.5万円 |
| 造船・鉄道車両ほか輸送用機械の上限額 | 83件 | 29.02万円 |
| その他の金属製品・金属加工の上限額 | 582件 | 28.786万円 |
| 自動車・同部品の上限額 | 201件 | 28万円 |
就業場所の従業員数別(提示額の月給下限)※今回から追加した軸です。大きい事業所ほど入口の月給は下がります| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
|---|
| 就業場所19人以下 | 1342件 | 21万円 |
| 就業場所20〜49人 | 1010件 | 21万円 |
| 就業場所100人以上 | 194件 | 20.1万円 |
| 就業場所50〜99人 | 403件 | 20万円 |
同じ従業員数別を「月給レンジの上限額」で見ると ※上限額のほうは差が確認できません| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
|---|
| 就業場所19人以下の上限額 | 1342件 | 30万円 |
| 就業場所20〜49人の上限額 | 1010件 | 30万円 |
| 就業場所100人以上の上限額 | 194件 | 29.71万円 |
| 就業場所50〜99人の上限額 | 403件 | 28.2万円 |
月給欄に何が乗っているか(提示額の月給下限)※定額手当と固定残業代を分けています| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
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| 固定残業代あり | 106件 | 24.619万円 |
| 定額手当あり(固定残業代なし) | 894件 | 21.073万円 |
| 提示額=基本給(上乗せなし) | 1949件 | 20.3万円 |
同じ分け方を「内訳にある基本給」で見ると ※固定残業代は基本給に触れず、定額手当は基本給を削ります| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
|---|
| 提示額=基本給(上乗せなし) | 1949件 | 20.3万円 |
| 固定残業代あり | 106件 | 20万円 |
| 定額手当あり(固定残業代なし) | 894件 | 19.61万円 |
溶接法の記載別(提示額の月給下限)※どの溶接法を挙げていても月給下限は動きません| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
|---|
| TIGのみ明記 | 178件 | 21.2万円 |
| 溶接法の記載なし | 1562件 | 21万円 |
| 複数の溶接法を明記 | 727件 | 21万円 |
| 半自動のみ明記 | 299件 | 20.94万円 |
| アークのみ明記 | 95件 | 20.5万円 |
| スポットのみ明記 | 84件 | 20万円 |
交替制・シフト勤務の有無(提示額の月給下限)※差の信頼区間が0を含み、差は確認できませんでした| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
|---|
| 日勤のみ | 2754件 | 21万円 |
| 交替制・シフト勤務あり | 195件 | 20.5万円 |
年間休日数別(提示額の月給下限)| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
|---|
| 年間休日105日未満 | 459件 | 21万円 |
| 年間休日105〜119日 | 1528件 | 21万円 |
| 年間休日120日以上 | 962件 | 20.7万円 |
同じ年間休日数別から「建設・プラント工事」を除くと ※わずかな差も消えます(休日の少なさではなく業種の差でした)| 区分 | 実査件数 | 月給下限の中央値 |
|---|
| 年間休日105日未満 | 326件 | 21万円 |
| 年間休日105〜119日 | 1362件 | 20.924万円 |
| 年間休日120日以上 | 846件 | 20.5万円 |
実査で見えたこと
- 今回追加した軸で、事業所が大きいほど入口の月給が下がることが分かりました。就業場所の従業員数が100人以上の194件は提示額20.1万円、19人以下の1,342件は21.0万円で、差は0.90万円(信頼区間0.54〜1.21万円)と0をまたぎません。ただしこれは「大きい会社は割が悪い」という話ではなく、渡し方が違うという話でした。月給レンジの上限額は29.71万円対30.0万円で差の信頼区間が0を含み(−2.00〜0.00万円)、天井は変わりません。変わるのは休みのほうで、年間休日の中央値は120日対110日、差は10日(信頼区間9〜10日)、年間休日120日以上の割合は56%対27%です。固定残業代の記載も100人以上では194件中2件、19人以下では1,342件中57件と桁が違います。ただし100人以上のnが薄いため、層を揃えると全部は残りません。地域を揃えて0をまたがないのは5ブロック中で関西・東海だけ、業種を揃えると100人以上が10件以上ある4業種のうち3業種(産業機械・金属加工・自動車)、経験要件を揃えると3層のうち2層でした。向きが逆転する層はありませんでしたが、この軸は次回の再実査で再現を確認する必要があります。
- 月給欄の上乗せを「定額手当」と「固定残業代」に分けると、基本給への効き方が逆向きでした。分けずに見ると「上乗せのある求人は提示額が高い」で終わりますが、2,949件は上乗せなし1,949件(66.1%)、定額手当のみ894件、固定残業代あり106件に分かれ、中身が違います。固定残業代のある求人は提示額が24.62万円と上乗せなしの20.3万円より4.32万円高く(信頼区間3.16〜4.80万円)、一方で基本給は20.0万円対20.3万円、差は−0.30万円で信頼区間が0を含みます(−0.78〜0.18万円)。つまり基本給は据え置きのまま、残業代がまるごと外側に足されている形です。定額手当のみの求人は逆で、提示額は0.77万円高い(信頼区間0.60〜1.15万円)のに、基本給は19.61万円対20.3万円で0.69万円低くなります(信頼区間0.31〜0.90万円)。定額手当は基本給の外に積まれるのではなく、一部が基本給から振り替えられている形です。この基本給のマイナスは5つの地域ブロックのうち4つ(甲信越・北陸・北関東だけが0に接する)、実務経験が必須の層(−1.78万円)と経験不問の層(−0.56万円)の両方で0をまたぎませんでした。前版では固定残業代についてだけ「基本給の差が完全に消える」と書きましたが、定額手当を切り離すと逆向きの効果が隠れていたことになります。
- 月給を動かしているのは溶接資格ではなく実務経験でした。これは前版(N=2,848)と同じ結論で、件数を入れ替えても再現します。溶接資格を必須にしている92件は22.1万円、資格の記載がない2,401件は20.8万円で、単純に比べると1.30万円の差(信頼区間0.04〜3.28万円)とかろうじて0を外れますが、これは経験要件との交絡です。資格必須の92件のうち70件(76%)が実務経験も必須にしているのに対し、資格の記載がない求人で経験必須なのは18%しかありません。実務経験が必須の求人だけに絞って比べ直すと、資格必須22.6万円に対し資格の記載なし22.71万円で、差は−0.11万円・信頼区間−2.04〜2.25万円と0をまたぎます。逆に経験のほうは資格を揃えても残り、資格の記載がない求人だけで比べても経験必須22.71万円対経験不問20.0万円(差2.61万円・信頼区間1.90〜3.00万円)です。全体では経験必須22.5万円対経験不問20.11万円(差2.39万円・信頼区間1.85〜2.90万円)、基本給でも22.0万円対20.0万円、上限額でも30.1万円対28.2万円で、5つの地域ブロックすべて・判定できた7業種のうち6つ・4つの規模帯すべてで同じ向きでした。業務独占資格が月給に効く整備士とは対照的です。
- 現場での溶接(建設・プラント工事)は、月給下限より上限に差が出ます。前版と同じ結論ですが、今回は5つの地域ブロックすべてで確定しました。下限は22.0万円で他業種の20.7万円に対し1.25万円高いものの(信頼区間0.79〜1.33万円)、同じ求人の基本給で見ると差は0.58万円・信頼区間0.00〜1.21万円と0に接し確定しません。一方で月給レンジの上限額は35.0万円対29.5万円(差5.50万円・信頼区間4.05〜5.80万円)とはっきり開き、首都圏(+7.50万円)・関西東海(+6.15万円)・甲信越北陸北関東(+7.00万円)・中国四国九州(+3.00万円)・北海道東北(+3.59万円)と5ブロックすべてで信頼区間が0をまたぎませんでした。レンジの倍率も現場1.50倍に対し工場内など1.36倍です。なお現場の年間休日の中央値は110日で、それ以外の115日より少なく、これが「年間休日が少ない求人のほうがわずかに月給が高い」という見かけの差(0.30万円・信頼区間0.15〜1.50万円)を作っています。建設・プラント工事を除いて同じ表を引き直すと差は0.50万円・信頼区間−0.40〜0.75万円と0をまたぎ、休みの少なさが月給に反映されているわけではないことが確認できます。
- 地域差は測り方を変えても順位が崩れず、基本給で見ると前版で確定できなかった最下位が分離しました。首都圏23.0万円と北海道・東北20.0万円の差は3.00万円(信頼区間3.00〜4.00万円)、同じ求人の基本給で並べ直すと22.0万円対19.04万円(差2.96万円・信頼区間2.60〜3.00万円)、月給レンジの上限額では33.5万円対27.65万円(差5.85万円・信頼区間4.40〜7.80万円)とさらに開きます。首都圏と2位の関西・東海の差1.00万円(信頼区間1.00〜2.00万円)、関西・東海と3位の甲信越・北陸・北関東の差2.00万円(信頼区間1.50〜2.00万円)も0をまたぎません。前版では下位3ブロックどうしの順位が確定していませんでしたが、今回、提示額では3つとも20.0万円で並ぶ一方、基本給で見ると中国・四国・九州・沖縄20.0万円に対し北海道・東北19.04万円で差0.96万円(信頼区間0.60〜1.00万円)と、北海道・東北だけが下に離れます。甲信越・北陸・北関東と中国・四国・九州・沖縄は提示額でも基本給でも差が0で、依然として同着です。地域差がほとんど無かったドライバーとは正反対で、溶接工では働く場所が月給に効いています。
この職種の求人票の読み方
溶接工の求人票は、他の職種にくらべて「書いてある月給がそのまま基本給である」確率が高い職種です。そのぶん、読むときに確認すべき点は月給欄の外側に移ります。2,949件の実査から見えた順番は次の通りです。
- いちばん先に、月給なのか日給なのかを確かめる。これが溶接工では最重要です。今回走査した正社員求人4,189件のうち、日給制が650件・時給制が225件あり、年俸制などと合わせて896件(21.4%)が月給制ではありませんでした。しかも求人検索の一覧画面は日給・時給の求人も月額に換算して表示するため、画面上は月給求人と見分けがつきません。日給制は出勤日数がそのまま月の収入に響くので、悪天候や工期の谷で現場が止まった月、年末年始やお盆のある月に手取りが変わります。求人票の「賃金形態」欄が月給か日給かを、金額より先に確認してください。
- 月給欄はそのまま基本給と読んでよい。ただし9件に1件は例外。2,949件すべてで内訳が読め、基本給は提示額の中央値100.0%、1,949件(66.1%)は1円単位で完全に同額でした。実査した11職種の中で最も一致率が高く、看護師や保育士のように「月給の内訳を開けたら基本給が大きく下だった」という心配は相対的に小さい職種です。ただし347件(11.8%)は基本給が提示額の9割を切り、84件(2.8%)は7割も切ります。最も差の大きい求人は提示20.0万円に対し基本給4.86万円(24.3%)で、この求人に固定残業代の記載はなく、差の15.1万円はほぼ業績手当(13.94〜18.6万円)でした。9割を切る347件のうち263件(76%)は固定残業代がなく、差の中身は定額手当です。賞与や退職金が基本給を基準に決まる会社では、この違いは年間の受取額に効いてきます。
- 上乗せがあるときは、それが「固定残業代」なのか「定額手当」なのかで意味が違う。今回この2つを分けて集計したところ、基本給への効き方が逆でした。固定残業代のある求人(106件)は提示額が4.32万円高い一方、基本給は上乗せなしの求人と差がありません(−0.30万円・信頼区間−0.78〜0.18万円)。基本給はそのままで、残業代の先出しが外側に足されている形です。対して定額手当だけがある求人(894件)は、提示額が0.77万円高いのに基本給は0.69万円低く(信頼区間0.31〜0.90万円)、手当の一部が基本給から振り替えられています。求人票を比べるときは、月給欄の額ではなく「基本給a」の欄どうしを並べてください。固定残業代がある場合は、あわせて想定時間数を見ます。記載があったのは3.6%(106件)だけですが、時間数は中央値20時間、四分位12〜30時間、40時間以上が14件、最長78時間でした。
- 資格で月給が上がると期待しない。上がっているのは経験のほう。溶接資格を必須にしている求人は22.1万円、資格の記載がない求人は20.8万円と一見1.3万円の差がありますが、これは資格必須の求人の76%が実務経験も必須にしているためです。実務経験が必須の求人だけで比べると22.6万円対22.71万円で差は消えます。一方で経験の効果は資格を揃えても残り、資格の記載がない求人だけで見ても経験必須22.71万円対経験不問20.0万円(差2.61万円)です。5ブロックすべて・判定できた7業種のうち6つ・4つの規模帯すべてで同じ向きでした。もっとも、資格が要らないという話ではありません。資格を持っていることが「経験がある」ことの証明として効いている可能性は、この実査からは切り分けられません。言えるのは、求人票の月給欄を見比べるかぎり、資格の欄より経験の欄のほうが金額と結びついているということです。
- 溶接法(TIG・半自動・アーク)で相場は変わらない。職種名や仕事内容にTIGを挙げている求人と、溶接法を何も書いていない求人の月給下限は21.2万円対21.0万円で、差の信頼区間は−0.35〜0.11万円と0をまたぎます。複数の溶接法を挙げている求人(21.0万円)が1つだけの求人より高いということもありません。前版と同じ結果です。「TIGができると給料が上がる」を求人票の月給欄で確かめることはできない、というのが2か月続けての実査の結果です。求人選びでは溶接法そのものより、扱う材質・板厚、図面を読む工程まで任されるか、資格取得の費用を会社が負担するかを見るほうが実際的です。
- 働く場所は効く。地域差は実査職種の中でも大きいほうです。首都圏23.0万円に対し北海道・東北20.0万円で、差は3.0万円。同じ求人の基本給で並べ直しても22.0万円対19.04万円と順位は変わらず、上限額では33.5万円対27.65万円まで開きます。関西・東海(22.0万円)も甲信越・北陸・北関東(20.0万円)を上回っています。一方で甲信越・北陸・北関東と中国・四国・九州・沖縄は提示額でも基本給でも差がなく、順位は確定していません。この2つの間の数千円を根拠に引っ越し先を決めるのは、統計的には支持されません。
- 現場での溶接は、入口の月給より上限の伸びしろで違いが出る。建設・プラント工事の事業所(鉄骨工事・管工事・設備工事など、現場に出る溶接)の月給下限は22.0万円で、工場内の業種(20.4〜21.0万円)との差は1.25万円と大きくありません。基本給で見るとこの差は確定しなくなります。はっきり違うのは上限額で、35.0万円対29.5万円(差5.50万円)、しかも5つの地域ブロックすべてで信頼区間が0をまたぎませんでした。レンジ倍率も1.50倍対1.36倍です。ただし上限額が「何年目・どの役割の人の数字か」は求人票からは分かりません。また現場の年間休日は中央値110日で、工場内の115日より少なめです。出張手当・宿泊手当は月給欄の外で支給されるのが通例で、この実査には入っていません。
- 大きい事業所は、月給ではなく休みで返ってくる。今回から従業員数の軸を足したところ、就業場所100人以上の求人は提示額20.1万円で、19人以下の21.0万円より0.90万円低いという結果でした(信頼区間0.54〜1.21万円)。ただし月給レンジの上限額には差がなく(29.71万円対30.0万円・信頼区間が0を含む)、年間休日は中央値120日対110日、120日以上の割合は56%対27%です。固定残業代の記載も100人以上では194件中2件しかありません。入口の月給だけを並べると小さい事業所のほうが高く見えますが、時間あたりで考えると逆転しうる差です。なお100人以上はn=194と薄く、地域を揃えると関西・東海以外では差が確定しません。この軸は今回が初回なので、次回の実査で再現するかを確認したうえでお読みください。
- 交替勤務・夜勤は、この職種では少数派で、月給欄にも出ない。交替制・シフト勤務ありと判定できたのは195件(6.6%)、夜勤帯を含むものは98件だけです。そして交替制の求人と日勤のみの求人は、提示額・基本給・上限額のいずれも差の信頼区間が0を含みました。工場・製造や看護師と同じく、夜勤手当・交替勤務手当は月給欄(基本給+定額手当+固定残業代)の外側で支給されるためです。交替勤務のある求人を検討するなら、手当の額と回数は求人票ではなく面接で確認するしかありません。
- 年間休日は月給と切り離して選べる。実査した求人の年間休日は60日から168日まで開いており(中央値114日、四分位105〜120日、120日以上が32.6%)、年間休日105日未満(21.0万円)と120日以上(20.7万円)の差はわずか0.30万円です。しかもこの差は業種の違いでした。年間休日の少ない建設・プラント工事を除いて引き直すと差は0.50万円・信頼区間−0.40〜0.75万円と0をまたぎます。「休みが少ない代わりに月給が高い」というトレードオフは、少なくとも求人票の月給欄には現れていません。年間休日60日は120日の求人に比べて年間60日、およそ2か月ぶん多く働く計算になります。同じ月給の求人が並んでいるなら、年間休日で選んで損はありません。
あわせて、扱う材質(軟鋼・ステンレス・アルミ)と板厚、溶接以外の工程(罫書き・切断・組立・仕上げ・塗装)をどこまで担当するか、資格取得(JIS溶接技能者、アーク溶接特別教育、ガス溶接技能講習、玉掛け・クレーン)の費用負担と受験機会、溶接面・防具・工具の貸与か自己購入か、屋内工場か現場出張か、宿泊を伴う出張の頻度と手当、繁忙期の残業時間(実査求人の月平均時間外は中央値20時間)、賞与の支給実績(実査求人の98.0%が賞与制度ありと記載)を見ると、同じ月給でも条件の差が判断できます。実務経験が必須の求人は21.1%にとどまり、半数(50.2%)は経験不問なので、未経験から入る道は広い職種です。そのぶん入口の月給は20.0万円前後にほぼ揃うため、数年後に効く条件で選ぶほうが合理的です。
この調査の限界(お読みください)
- 今回も媒体は公的職業紹介1つだけです。事務・看護師・保育士・整備士・電気工事士・工場回と同じ設計で、地域ごとに媒体が変わると地域差ではなく媒体差を測ってしまうため、媒体構成を揃えることを優先しています。その結果この数字は公的職業紹介に出ている求人層の相場であり、そこに載らない求人(民間媒体にしか出ない求人や高年収帯の求人)は含まれていません。媒体差そのものは今回も評価できていません。
- 前版(2026-08-24・N=2,848)からNが101件増えていますが、これは求人数が増えたという意味ではありません。今回から重複排除の署名を変えたことが主因です。前版は「下限・上限・都道府県・業種」が一致する求人を重複とみなしていましたが、溶接工は20.0万円ちょうどのような同じ金額に求人が密集するため、この署名では無関係の別法人まで重複として落ちてしまいます。今回は「同一事業所番号×同一給与」と「同一給与×同一都道府県×同一産業分類×同一職種名」の2つで名寄せし、除外は129件+2件の計131件にとどめました。前版と同じ署名を当てれば220件が重複判定になります。月ごとのNの増減は相場の増減として読まないでください。
- 47都道府県すべてで職種フリーワード「溶接」を検索し、検索結果を1ページ目だけでなく全ページ送って4,189件(求人番号で名寄せ済み)を取得、そこから条件で絞って2,949件にしています。取得した4,189件はすべて職種名に「溶接」を含んでおり、この検索が職種名を対象にしていることを確認しました。ページ送りを含めたため、県内に出ている該当求人は原則すべて拾えています。1県あたり7〜166件(中央値46件)と県による差が大きく、沖縄県7件・徳島県17件・鳥取県および島根県18件と薄いため、県単位の数字は出していません。並び順は既定の新着順のままなので有料掲載による歪みは受けませんが、直近に受理された求人に寄ります。
- 主系列と副系列は同じ2,949件です。この媒体の求人票は賃金欄が「基本給a」「定額的に支払われる手当b」「固定残業代c」に分かれており、提示額がa+b+cと一致することを固定残業代のある求人で検算したうえで、全件を対応させました。測定量を判別できず除外した求人は0件です。副系列は独立した別の求人群ではなく、同じ求人の内訳です。
- 基本給の中央値は20.0万円ちょうどで、2,949件のうち多数がこの額に集中しているため、ブートストラップ20,000回のすべてが20.0万円になり、信頼区間が[20.0万円, 20.0万円]という一点に退化しています。これは精度が極めて高いという意味ではなく、20.0万円という値そのものに求人が密集していることの反映です。前版・整備士回でも同じことが起きました。
- 「どの欄の額を採るか」は求人票を1つも読む前に決めて、全国すべての求人に同じ1つのプログラムで適用しています(提示額は賃金欄のa+b+c、基本給はa)。過去の実査で採取担当ごとに判定基準が割れ、地域差ではなく判定基準の差を測ってしまった事故があったため、人ではなくプログラムに固定する方式に変えました。
- 検算として、採用した2,949件から乱数の種を固定して250件を無作為に選び、採取に使ったキャッシュを一切参照しない新しい通信で求人票を取り直し、提示額の上下限・基本給・都道府県・雇用形態・賃金形態・固定残業代の有無・年間休日・経験要件・産業分類・就業時間区分・職種名を機械照合しました。不一致は0件、取得できなくなっていた求人も0件です。
- 一覧画面には時給制・日給制の求人も月額換算で表示されるため、そのまま採ると高額の外れ値として混入します。全件について詳細画面の「賃金形態等」が「月給」であることを確認してから採用しました。この判定で除外したのは日給650件・時給225件・その他18件・年俸制3件の計896件で、取得した求人の21.4%にあたります。溶接工は正社員でも日給制の求人が多い職種です。派遣・請負での就業となる求人82件、就業場所欄に都道府県が書かれていない求人9件も採取前に除外しています。
- 対象は職種名に「溶接」が入る正社員求人に絞っています。職種名が別の職務を指す求人122件(職業訓練指導員40件、生産技術・品質保証20件、設計・CAD18件、管理職・工場長16件、営業・事務12件、施工管理・現場監督11件ほか)は除外しました。なお前版では「職業訓練生歓迎」「工場見学随時受付中」「倉庫を建てる仕事」といった記載が除外語に巻き込まれて落ちていたため、今回その3パターンを潰しています。逆に、仕事内容には溶接が含まれるが職種名が「製造オペレーター」などになっている求人は、溶接が主たる業務か判別できないため最初から対象外です。この職種の相場は「溶接工として募集されている求人」の相場としてお読みください。
- 溶接資格の要否は、求人票の「必要な免許・資格」欄を資格名と必須/あれば尚可のペアに機械分解して判定しています。溶接に関する資格が「必須」と書かれた求人は92件(3.1%)、「あれば尚可」は456件(15.5%)、記載なしが2,401件(81.4%)です。同欄に複数の資格が並んでいても、注記でいずれか1つで可とされている場合があり、必須資格の個数までは読み取れません。玉掛け・クレーン・フォークリフトのいずれかが挙がっている求人は418件(14.2%)ありました。
- 業種は事業所の産業分類(131種)から機械的に7区分に寄せたもので、同じ職場の中の作業差(薄板か厚板か、工場内か現場か)は分けられていません。産業分類が本社・管理部門を指す求人8件は業種表から外しています。造船・鉄道車両ほか輸送用機械(n=83)は薄めなので参考値です。
- 就業場所の従業員数は求人票の記載をそのまま使っています(企業全体ではなく事業所の人数です)。この軸は今回が初回で、100人以上が194件と薄いため、交絡の点検結果をそのまま開示します。地域ブロックを揃えると、5ブロックのうち差の信頼区間が0をまたがないのは関西・東海(n=46対405)だけで、甲信越・北陸・北関東では差が0、残る3ブロックは負の向きながら0を含みます。業種を揃えると、100人以上が10件以上ある業種は4つしかなく、うち産業機械(−0.59万円)・金属加工(−1.00万円)・自動車(−1.75万円)の3つで0をまたがず、機械修理ほかは差0でした。経験要件を揃えると、実務経験が必須の層(−2.00万円)と経験不問の層(−0.73万円)では0をまたがず、経験があれば尚可の層は0を含みます。次回の再実査で再現するかを確認するまでは参考値としてお読みください。
- 交替制・シフト勤務の判定は求人票の記載から機械的に行っています(就業時間区分が交替制、就業時間帯が2つ以上、日をまたぐか16時以降に始まる勤務帯があるのいずれか)。該当は195件(6.6%)、うち夜勤帯を含むものは98件で、この職種では少数派です。実際の交替頻度や夜勤の回数は求人票からは読み取れません。
- 月給下限のみを集計しています。賞与、残業代の実支給額、現場での溶接に付く出張手当・宿泊手当の実支給額は含んでいないため、年収や手取りの比較にはそのまま使えません。年間休日は60日〜168日(中央値114日)と幅が大きく、同じ月給でも実際の時間あたりの条件は変わります。
- 地域ブロックのうち、甲信越・北陸・北関東と中国・四国・九州・沖縄の順位は提示額でも基本給でも信頼区間が0をまたぎ、確定していません。溶接資格が必須(n=92)、固定残業代あり(n=106)、溶接法別のスポット(n=84)・アーク(n=95)も薄く、参考値としてお読みください。溶接法のレーザーはn=4しかないため表から外しています。
実査方法: 複数の求人検索サイトで公開されている溶接工の正社員求人2,949件(全国47都道府県・重複排除後)の月給表記を、地域5ブロックに分けて実査(2026-09-12時点)。媒体は全ブロックで採取条件を揃えるため公的職業紹介1つに固定し、47都道府県の検索結果を全ページ送って求人票を取得、金額と分類を同一のプログラムで機械抽出。給与表記を『手当込みの総額提示』と『基本給のみ提示』に分けて集計し、中央値の95%信頼区間はブートストラップ法(20,000回)で算出/数値は実査時点の集計であり、個別の求人・企業を示すものではありません。/公表値は中央値の信頼区間が支持する精度に合わせ、1,000円単位に丸めています。
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