「Indeedの費用対効果って、実際どうなんですか」。採用のご相談で最も多く聞かれる質問のひとつです。そして多くの場合、その次に出てくるのが「応募単価は下がったんですけどね……」という一言です。
ここに、費用対効果を読み違える最大の落とし穴があります。支援の現場で繰り返し確認しているのは、Indeedの費用対効果は「応募単価」ではなく「採用単価」でしか測れないということです。応募単価は、下がっていても悪化していることがある数字だからです。
応募単価が下がって、採用が減る。なぜそんなことが起きるのか
Indeedをはじめとする運用型の求人広告では、クリック単価や条件のゆるさを調整すれば応募数は動きます。原稿の条件表現を広げ、対象を曖昧にすれば、応募数は増え、応募単価(広告費 ÷ 応募数)は下がります。
ところが、そこで集まった応募が「資格を持っていない」「勤務地が通えない」「そもそも別の職種を探していた」層で占められていれば、面接に進む人も、決定する人も増えません。支援の現場では、応募数を増やす調整をかけたときほど決定率が落ちるという傾向をはっきり感じています。この関係については「「応募数は多いほど良い」の誤解。応募数と決定率の逆相関の話」でも詳しく書きました。
応募単価と決定率はシーソーの関係になりやすい。だから片側だけを見ても、費用対効果は判断できません。
費用対効果の正しい単位は「1人採用するのにいくらかかったか」
見るべき数字はシンプルです。
- 採用単価 = その媒体にかけた総費用 ÷ 実際に入社した人数
掲載費用・運用代行費用・オプション費用まで含めた総額を、応募数ではなく入社人数で割ります。応募が100件来ても入社が0人なら、費用対効果はゼロです。逆に応募が3件でも1人入社していれば、その3件は十分に機能しています。
採用単価の考え方と、そこから広告予算の上限を逆算する手順は「採用単価は「計算」より先に決める。採用枠×15万円で予算上限を引く」にまとめています。
掲載費用の比較ではなく、「他の採用手段」と並べて比べる
Indeedの費用対効果を評価するとき、「Indeedの掲載費用は他媒体より高いか安いか」を比べても、あまり意味のある答えは出ません。媒体ごとに課金の仕組みも掲載期間も違うためです。
採用単価に換算すれば、はじめて異なる採用手段どうしを同じ物差しで比べられます。たとえば人材紹介の手数料は、業界慣行として理論年収の30〜35%程度が相場とされています(厚生労働省 職業紹介事業関連の統計等で水準を確認できます)。年収400万円の職種なら、1人あたり120〜140万円ということになります。
この数字と自社の採用単価を並べたとき、はじめて「この広告費は高いのか安いのか」に答えが出ます。※手数料率は契約により異なるため、あくまで一般的な水準としての比較です。
無駄なクリックを「どこで弾くか」は媒体ごとに違う
費用対効果を改善する打ち手は、実は媒体の性質によって置き場所が変わります。ここは見落とされがちなポイントです。
- Indeedのような検索型: 求職者が自分から職種名で検索して来ます。つまり原稿そのものがフィルタです。職種名・必須資格・勤務地・給与レンジを曖昧にせず書くほど、対象外の応募が減り、決定率が上がります。条件を隠して応募数を稼ぐ設計は、採用単価では損をします。
- SNS広告(Meta等)のような配信型: 執筆時点では、Metaの広告配信で「職種」を指定してオーディエンスを絞ることはできません。そのためバナーの中に「〇〇職 募集」と大きく職種名を書き、対象外の人にクリックさせない設計が有効です。支援の現場では、この一手だけで応募1件あたりのコストが目に見えて下がるケースを確認しています。
どちらも狙いは同じで、お金が発生する前に対象外を弾くこと。検索型は原稿で、配信型はクリエイティブで弾く、という違いです。
3ヶ月で判定する。ただし見るのは応募数ではない
掲載を続けるかどうかの判断は、支援の現場ではおおむね3ヶ月を目安にしています。その際にチェックするのは次の順番です。
- 1. 入社人数: 1人でも決まっているか。決まっていれば採用単価を出して評価する
- 2. 面接到達数: 応募はあるが面接に進まないなら、原稿の条件表現と対象設定のズレを疑う
- 3. 応募数: ここがゼロに近いなら、そもそも媒体と職種の相性を疑う
3ヶ月動かして応募がほぼゼロという状態は、原稿の改善で挽回できることは多くありません。資格必須の専門職などでは、検索型の求人広告と根本的に相性が悪いこともあります(参考: 「施工管理の採用が「できない」会社に共通する、たった一つの誤解」)。
まとめ
- Indeedの費用対効果は応募単価では測れない。応募単価と決定率はシーソーになりやすい
- 見る数字は採用単価 = 総費用 ÷ 入社人数。掲載費用も運用代行費も総額に含める
- 採用単価に換算すれば、人材紹介(理論年収の30〜35%が相場)など他の手段と同じ物差しで比べられる
- 検索型(Indeed)は原稿で、配信型(SNS広告)はバナーで、課金前に対象外を弾く
- 判定は3ヶ月。見る順番は「入社人数 → 面接到達数 → 応募数」
※媒体の仕様・料金体系は執筆時点の情報です。運用条件により結果は異なります。