「学歴不問」と書いてあるから応募したのに、書類で落ちた。それなら「学歴不問」は何のための言葉なのか、と思った人は少なくないはずです。「求人 学歴不問 意味」「求人 学歴不問 中卒」「求人 学歴不問 未経験」と検索が並ぶのは、この言葉の守備範囲がはっきりしないからでしょう。
私たちリクプル編集部は、ふだんは企業の採用を支援し、求人票を作る側にいます。その立場から先に結論を言うと、「学歴不問」は選考の基準を何もかも外した宣言ではありません。学歴という1つの欄に「条件なし」と答えただけのものです。会社が人を選ぶ基準は、ほかの欄に移ります。この記事では、その読み方を正直にお伝えします。
結論: 「学歴不問」は、学歴欄に「必要な学歴はない」と答えた印にすぎない
ハローワークの企業向け入力案内では、学歴の欄は「必須」か「不問」のどちらかを選ぶ形になっています。「必須」を選んだ会社だけが、必要な学歴を選びます(ハローワーク「求人情報の入力方法について」)。
つまり求人票の学歴欄は、「最終学歴が何であれ応募を受け付けるか」だけに答える欄です。経験、資格、人柄、勤務条件との相性といった、ほかの選考基準はこの欄の外で決まります。「学歴不問」なのに落ちたのは、学歴で落とされたのではなく、別の基準で選ばれた結果であることのほうが多いのです。
内幕①: 学歴不問と書く会社の本音は、「必要な経験」と「資格」の欄に移る
求人を作る現場では、学歴欄を「不問」にすると、その分だけ選考基準がほかの欄に寄ります。支援の現場の実感として、移る先はおもに2つです。
- 「必要な経験」の欄: 「○○の実務経験2年以上」のような条件。学歴を問わない代わりに、仕事の経験で判断する書き方です
- 「必要な免許・資格」の欄: 普通自動車免許、施工管理技士、介護の資格など。職種によっては資格が事実上の「学歴の代わり」になります
学歴不問のつもりで見ていた求人も、この2つの欄を見ると印象が変わります。経験不問・資格不問の両方が揃っていれば、入口が広い求人です。経験や資格が必須なら、学歴不問は「大学を出ていなくても、経験があれば受け付ける」という意味で使われています。「学歴不問」を「誰でも受かる」と読むと、このズレにやられます。
内幕②: 「学歴不問」と「未経験歓迎」は別の欄。片方だけでは入口の広さが分からない
「求人 学歴不問 未経験」という検索があるとおり、2つは同じ意味だと受け取られがちです。しかし、求人票の中では別の質問への答えです。学歴は学歴の欄、経験は経験の欄で、それぞれ別に答えます。
- 学歴不問・経験不問: いちばん入口が広い。ただし応募が集まりやすいので、人柄や意欲、勤務条件との相性で選ばれる
- 学歴不問・経験必須: 経験者向け。学歴は問わないが、仕事の実績は見られる
- 学歴必須・経験不問: 学校を出ていることが条件。仕事の経験は問わない
「未経験歓迎」と書かれていても、実際には落ちる求人があります。その理由は未経験歓迎の求人で落ちる理由を解説した記事に書いたので、あわせて読んでみてください。
内幕③: 「高卒以上」は書けるが、「18歳以上」とセットで書くことはできない
「求人 学歴不問 高卒」「学歴不問 正社員」と調べる人が気になるのは、「高卒以上」と書かれた求人との違いでしょう。学歴を「必須」にして「高卒以上」と書くこと自体は認められています。厚生労働省のQ&Aは、高校卒業などの学歴の制限は年齢制限には当たらないので、「高校卒業以上」のような条件を定めることは可能、としています。
ただし同じQ&Aは、これをもって「18歳以上」という年齢制限を定めることはできないとも書いています(厚生労働省「労働者の募集及び採用における年齢制限禁止の義務化に係るQ&A」Q1-7)。学歴の条件と年齢の条件は別物として扱われます。年齢欄の読み方は求人の年齢制限と年齢不問の裏を解説した記事で詳しく書いています。
求職者側から見ると、こう読めます。「高卒以上」と「学歴不問」の差は、中学校卒業で応募できるかどうかです。中卒の人が応募したい場合は、「学歴不問」の求人か、「高卒以上」の条件がない求人を探すことになります。
中卒・学歴に自信がない人が、応募前に確かめたい点
学歴不問の求人でも、学歴が選考に一切影響しないとは言い切れません。会社が実際にどう扱っているかは、求人票には出ないからです。確かめたいのは次の3点です。
- 資格の欄に「学歴がないと取れない資格」が入っていないか。資格によっては受験に学歴や実務経験の条件があります。受験条件は資格ごとに決まっているので、資格名で一度調べておくと安心です
- 仕事内容が、学歴ではなく経験で説明されているか。「○○の経験がある方」「△△を任せます」のように、中身が具体的に書かれている求人は、経験で判断する会社です
- 昇給・昇格の条件に、学歴が使われていないか。入口は不問でも、入社後の等級が学歴で分かれる会社はあります。ここは求人票には書かれないので、面接で聞きます
応募前と面接で、学歴不問の中身を確かめる方法
学歴そのものを聞くのではなく、実際に採られている人を聞くのが、いちばん角が立ちません。
- 面接では「この職種で活躍されている方は、どんな経歴の方が多いですか」と聞く。学歴ではなく経歴を聞く質問なので、採用側は答えやすく、実態が見えます
- 「入社後の評価や昇格で、必要な資格や経験はありますか」と聞く。入口で学歴が不問でも、上がる条件に何が使われるかが分かります
- 求人票では、経験・資格・勤務条件の3つの欄をセットで見る。学歴不問の一言で判断せず、「何で選ばれるか」を欄ごとに読みます
- 書類で落ちた理由を知りたいときは、応募したハローワークや媒体の窓口に聞く。理由を教えてもらえるかは会社次第ですが、自分で想像を重ねて「学歴のせいだ」と決めつける前に、確かめる価値はあります
学歴や年齢を理由に不当な扱いを受けたと感じる場合は、都道府県労働局またはハローワークが窓口です。法律に照らした判断は個別の事情によるので、専門機関に相談してください。この記事は、求人票の読み方と確認の仕方の話です。
働く人の経歴や職場の空気を入社前に確かめたい方は、リクプルのインタビュー記事もご覧ください。実際にその職場で働く人の言葉で、どんな経歴の人が活躍しているかが分かります。
まとめ
- 求人票の学歴欄は「必須」か「不問」の2択。「学歴不問」は、学歴の欄に条件がないと答えただけの印
- 学歴不問と書く会社の選考基準は、「必要な経験」と「必要な免許・資格」の欄に移る。この2つを見ずに「誰でも受かる」と読むとズレる
- 「学歴不問」と「未経験歓迎」は別の欄。2つの組み合わせで入口の広さが変わる
- 「高卒以上」は書けるが、「18歳以上」の年齢制限とセットにはできない。「高卒以上」との差は、中卒で応募できるかどうか
- 面接では学歴ではなく「活躍している人の経歴」「昇格に必要な資格や経験」を聞く