「求人票の書き方のコツ」を調べると、キャッチコピーの付け方や仕事内容の表現方法が出てきます。もちろん大切なのですが、求人原稿を毎日つくっている立場から言うと、応募を落としている原因はもっと手前にあります。
求人票の書き方で最初にやるべきコツは、表現を磨くことではなく、公開前にスマホでの「壊れ」を潰すことです。私たちは採用LP・求人原稿のレビューが「なんとなく安っぽい」「もっと良い表現に」で往復して収束しなかった経験から、公開前のチェック基準を明文化しました。順番を間違えると、書き直しても成果が変わりません。
デザインや表現の議論より先に見る、8つの最低合格ライン
これを満たさないうちは表現の良し悪しを議論しない、という足切りの基準です。原稿でもLPでも共通します。
- 変な改行がない
- 会社名・職種名などの固有名詞が途中で切れていない
- 最初の1画面に応募ボタン(応募方法)が見えている
- 横スクロールが発生していない
- 仮の文言・仮素材が残っていない、または仮だと分かる
- 写真の使い回し・切れ端表示・トーンの不一致がない
- 会社情報と原稿上の表記(社名・所在地・給与)が一致している
- 最後まで読んだとき、同じ形の塊が延々と続く印象にならない
地味に見えますが、支援の現場ではこの8項目のどれかで事故が起きているケースが大半です。そして事故のほとんどは、改行・画像・繰り返しの3つに集中します。
事故の第1位は「改行」。PCで整った改行はスマホで崩れる
もっとも多いのが改行の事故です。具体的にはこうした崩れ方をします。
- 「施工管理」「株式会社◯◯」など、意味のまとまりが途中で割れる
- 1文字だけが次の行に落ちる
- 強調したい語だけが単独行になり、文意がねじれて読める
厄介なのは、PCの編集画面で整えた改行が、スマホでは別の位置で折り返されることです。求職者の多くはスマホで求人を見ます。見出しは2〜3行以内、ボタン内の文言は原則2行以内を目安に、スマホでの見え方を正としてつくるのが安全です。
AI生成画像の時代に増えた「写真の使い回し」事故
画像生成が手軽になったことで、以前はなかった事故が主要因になりました。
- 同じ画像を、意味の違う複数のセクションで使い回している
- 連続するカードに同じ写真が繰り返し出てくる
- 生成画像の人物が重複している、手や文字が破綻している、既存の実写素材とトーンが合わない
対処はシンプルで、画像を増やす前に「その画像は文章・見出し・応募導線のどれを支えるのか」を決めることです。役割を説明できない画像は、載せないほうが原稿の信頼度は上がります。役割のない白丸・番号・バッジなどの装飾も同様で、余白で逃がすのではなく、まず削除を検討します。
「壊れ」を潰した後にやるのが、中身の具体性
ここまでが足切りで、成果を決めるのはやはり中身です。優先すべきは表現の巧みさではなく具体性です。Web制作会社ベイジが転職経験者3,000人超に実施した「中途採用における採用サイト利用実態調査(2024年度版)」では、転職者が最初に見たい情報の1位は募集要項(51.1%)でした。
給与レンジ・休日・残業の実態・仕事内容——ここが薄い求人票は、読まれた瞬間に候補から外れます。応募が来ない求人の原因はこの記事で5つに整理していますが、いずれも「情報の具体性」に行き着きます。何を書けば求職者の不安に答えられるかは採用サイトのコンテンツの記事もあわせてご覧ください。
ハローワークの求人票とWeb求人原稿は「壊れ方」が違う
ハローワークの求人票は入力欄と文字数が定まっており、崩れるのは主に情報の省略です。限られた文字数のなかで、給与の内訳と仕事内容の具体性をどこまで残せるかの勝負になります。
一方でIndeedや求人検索型の媒体、自社の採用LPは自由度が高いぶん、前述の改行・画像・繰り返しの事故が起きます(各媒体の仕様や使用可能な記号は執筆時点のものです。運用前に最新の規定をご確認ください)。同じ原稿を流用するときほど、掲載先ごとに見え方を確認する必要があります。
公開前チェックの手順
実務では次の手順で確認しています。
- スマホ幅で確認する: 幅390px/375px/360pxで破綻しないこと(小さい端末ほど改行が崩れます)
- スクリーンショットだけで判定しない: 実際に最後までスクロールする。画像が「切れ端」だけ見える高さになっていないかは、止まった画面では分かりません
- 声に出して読む: 改行位置で意味が切れていれば、読んだときに引っかかります
この3手順は10分もかかりません。表現を練り直す前にここを通すだけで、原稿レビューの往復が目に見えて減ります。
まとめ
- 求人票の書き方の第一のコツは、表現ではなく公開前の「壊れ」潰し
- 足切りの合格ラインは8項目。満たすまで表現の良し悪しは議論しない
- 事故は改行・画像・繰り返しに集中する。PCで整えた改行はスマホで崩れる
- 役割を説明できない画像と装飾は、載せないほうが信頼度が上がる
- 足切りの後に効くのは具体性。まず見られるのは募集要項(51.1%)
- 確認は幅390/375/360pxで、スクロールしながら。スクショ判定にしない
出典: ベイジ「中途採用における採用サイト利用実態調査(2024年度版)」