「訪問介護の求人に、普通自動車免許は必須と書くべきか」「車を使う仕事だと、免許なしの人はあきらめるのか」。訪問介護の採用担当者や、これから求人票を作る方から出る悩みです。「訪問介護 免許」「訪問介護 免許なし」「訪問介護 車両手当」「訪問介護 車無し」といった検索が出ていて、求職者も車まわりの条件を気にしています。
リクプル編集部は株式会社KD3で、介護職・ヘルパーの求人相場ウォッチを続けています。2026年10月27日時点の公的職業紹介の正社員求人12,442件(全国47都道府県)のうち、利用者宅へ出向く訪問介護の2,067件で免許の要件を調べました。この記事の主張は1つです。訪問介護では「免許必須」と書いた求人のほうが、月給の下限が2万円低い。車の条件は「必須」の一語で済ませず、車の使い方まで書いたほうが求職者に伝わる。
訪問介護は、介護の施設区分のなかで月給の下限が最も高い
まず前提として、施設の区分ごとに月給の下限(提示額)の中央値を見ると、訪問介護(利用者宅)が22.9万円で最も高く出ました。有料老人ホーム・サ高住は21.4万円、通所介護(デイサービス)は21.0万円です。基本給で引き直しても、訪問介護は18.0万円で上位に並びます。
訪問介護は月給の下限が高めに出る区分です。ここから、免許の条件を細かく見ていきます。
免許必須の求人は22.0万円、必須指定なしの求人は24.0万円
訪問介護の2,067件を、普通自動車免許の要件で分けると、次のとおりでした。
- 普通自動車免許が必須:1,079件(52%)、月給の下限の中央値22.0万円
- 普通自動車免許の必須指定なし:988件(48%)、中央値24.0万円
免許必須の求人は半数ほどで、残りは必須と書いていません。月給の下限は、免許必須のほうが2.0万円低く出ました。運転が必要な求人に報酬が上乗せされている、とはなっていません。
なぜ逆の向きに出るのかは、今回の集計では切り分けていません。たとえば、必須指定のない求人にサービス提供責任者のような役割の求人が混ざり、月給の下限が高く出ている可能性があります。この求人群にはサービス提供責任者358件が含まれ、その層の提示額の中央値は25.3万円と高く出ています。免許の有無そのものが月給を2万円押し下げている、と読むのは早計です。
書くべきは「免許必須」より「車の使い方」
ここからは実査を踏まえた、リクプル編集部の考えです。支援の現場では、訪問介護の求職者が気にする点は、免許があるかどうかよりも、その免許で何をすることになるのかの傾向があります(実査の件数ではなく、見立てです)。サジェストに「社用車」「車両手当」「車移動」「車無し」が並ぶのも、車の使い方への関心の高さを示しています。
免許必須とだけ書かれた求人票では、次の点が分かりません。
- 自分の車を使うのか、会社の車を使うのか
- 車を使う場合、ガソリン代や車両手当は出るのか
- 自転車やバイクで回れるエリアなのか
- 直行直帰ができるのか、事業所に毎回立ち寄るのか
この4点は、免許があっても不安が残る部分です。求人票には次のように書くのがおすすめです。
- 免許は「必須」か「あれば尚可」かを区別する。自転車やバイクで回れる地域なら、その旨を書き、免許なしでも応募できる余地を残す
- 車の持ち主を書く。「社用車を貸与」「自家用車を使用、車両手当あり」のどちらかを明記する
- 移動の条件を書く。直行直帰の可否、移動時間の扱い、1日の訪問件数の目安を載せる
月給欄の見せ方については、介護の夜勤手当は月給欄に入らないの記事でも同じ考え方を整理しています。月給の相場と採用単価の関係は、介護職の採用単価は、月給の提示額を上げても下がらないをご覧ください。
数字を読むときの注意
この実査は公的職業紹介1つの求人票に基づいていて、民間の介護専門サイトにだけ出ている求人は含みません。免許の要件は、求人票の免許・資格欄の記載から機械的に判定しています。「必須指定なし」には、免許が不要の求人と、記載がない求人の両方が含まれます。月給は下限額の比較で、賞与や車両手当の実支給額、移動時間の扱いは含みません。免許の要件と月給の差の理由は、今回は切り分けていません。
まとめ
- 訪問介護は、介護の施設区分のなかで月給の下限が最も高い(中央値22.9万円・2,067件)
- 普通自動車免許が必須の求人は22.0万円(1,079件)、必須指定なしは24.0万円(988件)。必須の求人のほうが2.0万円低い
- 免許の有無だけでなく、社用車か自家用車か、車両手当、直行直帰が求職者の気になる点
- 求人票は、免許の必須と尚可を分け、車の使い方を書く
自社の訪問介護の求人票を開いて、免許の欄に「必須」とだけ書いていないか確認してみてください。