「介護の夜勤手当は、いくらに設定すれば応募が来るのか」「夜勤がある分、月給も高く書くべきか」。介護施設の求人を作るとき、夜勤の見せ方で迷う採用担当者は多いはずです。「介護 夜勤手当」では、相場や平均を調べる検索が出ています。
リクプル編集部は株式会社KD3で、介護職・ヘルパーの求人相場ウォッチを続けています。2026年10月27日時点の公的職業紹介の正社員求人12,442件(全国47都道府県)で夜勤を調べました。この記事の主張は1つです。夜勤手当は月給欄の中に入っておらず、1回あたりの額として月給の外に乗っている。求人票では月給を高く見せず、「1回◯円・月◯回程度」を書くほうが実態に合う。
入居系の施設では、夜勤の有無で月給の下限は変わらない
求人票の月給下限を、夜勤の有無で比べました。全体では次のとおりです。
- 夜勤なし:4,542件、中央値21.5万円
- 夜勤あり:7,900件、中央値20.9万円
夜勤ありのほうが低く出ます。ただしこれは、夜勤のない通所介護や訪問介護に月給の高い求人が多いという、施設の構成の差が混ざった結果です。特別養護老人ホーム・老人保健施設・有料老人ホーム・グループホームなど、夜勤が日常的にある入居系の施設だけに絞ると、夜勤なしの666件も夜勤ありの5,052件も、中央値は21.0万円で同じでした(差の信頼区間は−0.3〜+0.3万円)。
夜勤をするから月給の下限が高い、という関係は確認できません。夜勤の対価は、月給の下限とは別の場所に置かれています。
夜勤手当は1回あたりで、中央値は6,000円
その別の場所とは、1回ごとに加算される夜勤手当です。手当欄や付記事項に「1回あたり」と額が明示されていた5,184件で見ると、夜勤手当の中央値は6,000円で、中央の半数は5,000〜7,500円に入っていました。
月の夜勤回数をかけると、おおまかな月額が出ます。これは実査の数字ではなく、リクプル編集部の計算です。たとえば月4回なら、中央値の6,000円で2.4万円、中央の半数の幅(5,000〜7,500円)で2.0〜3.0万円です。求職者が月給欄だけを見て判断すると、この2万〜3万円分は見えません。
夜勤の情報は、求人票の「特記事項」に隠れていることが多い
今回の実査で注目すべき点がもう1つありました。夜勤ありと判定した7,900件のうち、5,192件(66%)は就業時間欄ではなく、「就業時間に関する特記事項」欄にだけ夜勤帯(「16:30〜翌9:30」など)が書かれていました。
求人票を読む側からすると、就業時間欄が「日勤8:30〜17:30」とだけ書かれていて、夜勤があることが欄の外にしか出ていない求人が3分の2です。支援の現場では、夜勤の有無は求職者が最初に絞り込む条件の1つです。夜勤が条件に入るのに、見える場所に書かれていない求人は、見られる前に外されている可能性があります。(この点は実査の件数で、応募への影響を測ったものではありません)
求人票への書き方は、月給・夜勤手当・回数を分ける
ここからは実査を踏まえた、リクプル編集部の考えです。夜勤手当を月給で見せようとすると、基本給を削って手当に回す形になりがちです。手当が基本給を削る構造は、求人票の手当は月給を上げない。実査1.6万件でわかった基本給の削られ方で整理しました。夜勤手当は月給と切り離して、次の3点を別々に書くほうが誤解を生みません。
- 月給欄は、夜勤を含まない額で書く。基本給と、処遇改善手当などの定額手当を分けて書く
- 夜勤手当は「1回◯円」と書く。自社の額が実査の中央値6,000円より高いなら、それを強みとして前に出す。低いなら、回数や休憩・仮眠の取り方で補う
- 月の夜勤回数は「月◯回程度」と書く。求職者が自分で月額を計算できるようにする。就業時間欄にも夜勤帯を書き、特記事項にだけ置かない
介護職の基本給と提示額の差については、介護職の採用単価は、月給の提示額を上げても下がらないに詳しくまとめています。
数字を読むときの注意
この実査は公的職業紹介1つの求人票に基づいていて、民間の介護専門サイトにだけ出ている求人は含みません。夜勤の有無は、就業時間欄と特記事項欄の時刻から機械的に判定しています。夜勤手当の額は「1回あたり」と明示された求人だけの集計で、月額や実際の支給額ではありません。月給は下限額の比較で、賞与・夜勤手当の実支給額は含みません。
まとめ
- 入居系の施設では、夜勤ありも夜勤なしも月給の下限は中央値21.0万円で同じ
- 夜勤手当は月給の外に乗る。1回あたり中央値6,000円、中央の半数は5,000〜7,500円(5,184件)
- 夜勤ありの求人の66%は、夜勤帯が特記事項欄にだけ書かれている
- 求人票は、月給(夜勤を含まない)・夜勤手当(1回◯円)・月の回数を分けて書く
自社の介護職の求人票を開いて、夜勤の情報が就業時間欄から読めるかを確認してみてください。