「電気工事士の求人で年間休日を120日以上にすると、応募は増えるのか」「休みを増やすぶん、月給を下げないといけないのか」。電気工事会社の採用担当者から、こうした相談はよく出ます。「電気工事士 年間休日」「電気工事士 年間休日120日」といった検索が出ているのも、同じ悩みの表れでしょう。
リクプル編集部は株式会社KD3で、電気工事士の求人相場ウォッチを続けています。2026年10月22日時点の公的職業紹介の正社員求人4,834件(全国47都道府県)で、年間休日と月給の関係を調べました。この記事の主張は1つです。電気工事士の求人では、年間休日が105日未満でも120日以上でも、月給の下限は変わらない。休日は「月給で埋め合わせるもの」ではなく、独立した条件として書くものです。
電気工事士の年間休日は、中央値110日で52日から160日まで開く
今回の4,834件の年間休日は、中央値が110日、四分位が105〜120日でした。最も少ない求人は52日、最も多い求人は160日です。同じ県の中でも差があり、「電気工事士の年間休日はこのくらい」と一つの数字で言い切れる職種ではありません。
3つの区分に分けると、件数は次のとおりです。
- 年間休日105日未満:1,102件(22.8%)
- 年間休日105〜119日:2,090件(43.2%)
- 年間休日120日以上:1,642件(34.0%)
120日以上を打ち出している求人は3件に1件ほどあります。休日が多いことは、すでに一定数の競合が書いていることになります。
参考までに、厚生労働省「令和7(2025)年就労条件総合調査」では、企業を年間休日の階級で分けると120〜129日の企業が37.3%、100〜109日が27.9%、110〜119日が21.4%でした(出典:厚生労働省 令和7年就労条件総合調査)。こちらは全産業の企業の割合で、今回の求人件数とは母数が違うため数字そのものは比べられません。ただ、全産業でも「100日台前半」と「120日台」の二山になる傾向は、電気工事士の求人の分布と重なって見えます。
月給の下限は、休みが少ない求人ほど高い、とはなっていない
同じ求人票の月給の下限(提示額)を、年間休日の区分ごとに比べました。
- 年間休日105日未満:中央値22.0万円
- 年間休日105〜119日:中央値22.5万円
- 年間休日120日以上:中央値22.0万円
3つの区分の信頼区間はすべて重なっていて、月給に差があるとは言えません。見るべき点は2つあります。1つ目は、休みが少ない求人が月給で報いているわけではないことです。「現場が忙しいから休みが少ない代わりに月給を厚くしている」という構造は、求人票の月給欄には現れていません。
2つ目は、休みが多い求人でも月給が低いわけではないことです。120日以上の求人は、105〜119日の求人より中央値で0.5万円低く見えますが、区分どうしの差は確定していません。年間休日を厚くすることが、月給を削る交換条件にはなっていないということです。
だから「休日を採用の武器にする」判断は、月給と切り離せる
ここからは実査を踏まえた、リクプル編集部の考えです。年間休日を増やすかどうかは、月給をいくらにするかとは別の判断にできます。同業の求人が休日と月給を引き換えにしていないなら、休日を厚くした会社は、月給を保ったまま「休みが多い」を前に出せます。
支援の現場では、現場仕事の求職者が最初に見る条件に、月給と並んで年間休日が入る傾向があります(実査の件数ではなく、リクプル編集部の見立てです)。それなら、求人票では休日を次のように書くのがおすすめです。
- 年間休日は日数で書く。「休日多め」「週休2日制」だけでは、120日以上かどうかが読み取れません
- 現場がある日の休み方を添える。工期の都合で土曜に出勤する場合は、その頻度と振替休日の取り方を書いておくと、日数だけでは伝わらない実態が伝わります
- 月給は休日と引き換えにしない。年間休日を増やしたことを理由に基本給を下げると、「月給も低く、休日が多いだけ」の求人に見えます
年間休日のどこに基準線を置くかは、年間休日の基準線の記事でも整理しています。電気工事士の求人は、募集している会社の種類でも月給の出発点が違います。その点は電気工事士の採用競合は専業だけでないで詳しく書きました。
休日と一緒に書きたい、固定残業代の時間数
休みの少なさを月給の高さで補っているように見える求人は、中身を確かめる価値があります。今回の4,834件のうち、固定残業代の記載があったのは725件(15.0%)でした。想定時間数の中央値は21時間、30時間以上が282件、40時間以上が141件、最長は67時間です。
固定残業代のある求人は提示額が25.4万円と高く見えますが、同じ求人の基本給は20.3万円で、固定残業代のない求人の20.8万円と変わりません。差額は中央値で4.6万円あり、これはほぼ残業代の先出しです。つまり、月給が高く見える電気工事士の求人の一部は、「休みが少ない代わりに高い」のではなく、「その時間まで働いて初めて提示額に届く」求人です。
採用側にとっては、これが書き方の差になります。休日を日数で書くのと同じ行に、固定残業代の時間数と、超過分は別途支給することを書いておくと、同じ月給でも信頼されやすくなります。
数字を読むときの注意
この実査は公的職業紹介1つの求人票に基づいていて、民間の求人サイトにだけ出ている求人は含みません。年間休日は求人票に書かれた日数で、実際に取れた休日ではありません。月給は下限額の比較で、賞与・資格手当・残業代の実支給額は含みません。年間休日と月給の両方に影響しうる会社の規模や工事の種類、実務経験の要件は、この比較では揃えていません。「休日と月給は関係しない」という主張は、あくまで全体の中央値で見たときの話です。
まとめ
- 電気工事士の年間休日は中央値110日で、52日から160日まで開く(4,834件)
- 区分別の件数は、105日未満が22.8%、105〜119日が43.2%、120日以上が34.0%
- 月給の下限の中央値は、105日未満22.0万円・105〜119日22.5万円・120日以上22.0万円で差は確定しない
- 求人票は、年間休日を日数で書き、月給を休日と引き換えにしない
自社の電気工事士の求人票を開いて、年間休日が日数で書かれているか、月給と引き換えになっていないかを確認してみてください。