「施工管理の採用では、大手ゼネコンには月給で勝てない。中小は待遇で負けるから、応募が来ないのは仕方がない」。中小企業の採用相談で、こうした前提を置いている会社は少なくありません。「施工管理 中小企業 年収」と検索されることからも、求職者側も同じ疑問を持っていることがわかります。
リクプル編集部は株式会社KD3で、施工管理の求人相場ウォッチを続けています。2026年10月17日時点の公的職業紹介の正社員求人10,703件(全国47都道府県)を、求人票の「就業場所の従業員数」で分けて見ました。この記事の主張は1つです。施工管理の求人票では、就業場所が小さいほど基本給は低くならず、むしろ高く出ている。中小企業が「月給で負ける」と決めてかかる必要はなく、負けるとすれば月給の外である。
施工管理の求人は、9割近くが就業場所49人以下
10,703件を就業場所の従業員数で分けると、19人以下が6,099件(57.0%)、20〜49人が3,393件(31.7%)、50〜99人が850件(7.9%)、100人以上が361件(3.4%)でした。施工管理の求人の88.7%は、就業場所が49人以下の事業所です。
ここでいう規模は会社全体ではなく、働く場所(事業所)の従業員数です。大手ゼネコンでも、現場に近い支店や営業所は小さな事業所として求人を出します。そのため「大手か中小か」ではなく「その事業所が何人か」で見たほうが、求職者が実際に比べる条件に近くなります。
基本給は19人以下が24.0万円、100人以上が22.0万円
同じ求人の基本給(月給下限)の中央値は、就業場所の規模別に次のとおりでした。
- 19人以下:24.0万円(6,099件)
- 20〜49人:23.0万円(3,393件)
- 50〜99人:22.1万円(850件)
- 100人以上:22.0万円(361件・参考値)
規模が大きくなるほど、基本給は低くなる並びです。19人以下と100人以上の差は2.0万円ありますが、100人以上は361件と薄いため、この端の比較は参考値として読んでください。厚い層だけで比べても、19人以下と20〜49人で1.0万円、20〜49人と50〜99人で0.9万円の差があり、向きは一貫しています。
注意したいのは、この数字は資格要件や工種、地域を揃えた比較ではないことです。「小さい事業所のほうが施工管理を高く雇っている」という意味ではありません。言えるのは、求人票に出る数字の相場として、小さい事業所は大きい事業所に月給で劣る前提にはなっていないということまでです。
中小企業が自社の相場を見るときは、同じ規模の中で見る
自社の就業場所が19人以下なら、比べる相手は同じ規模の求人です。たとえば基本給を22万円で出している会社が、大手の求人と比べて「安い」と感じても、同じ19人以下の中央値は24.0万円です。外から見て安いかどうかの基準は、大手の月給ではなく、同じ規模の求人の相場で見たほうが実態に近くなります。
反対に、自社が24万円を出しているのに応募が来ない場合は、月給を上げるより先に疑う場所が別にあります。資格の要否による差は、施工管理の採用は資格で月給が5.5万円動くで整理しています。中小企業全般の月給の動き方は中小企業の採用戦略:月給は規模で1.3万円、地域で2.8万円動くも参考になります。
負けるとすれば、月給の外。休日の規模差は統計にも出ている
月給で負けていないなら、求職者が比べる軸は月給の外に移ります。その代表が年間休日です。厚生労働省「令和7(2025)年就労条件総合調査」では、年間休日総数の1企業平均は、30〜99人の企業が111.2日、1,000人以上の企業が117.7日で、全産業では規模が小さいほど休日が少ない傾向があります。
施工管理の求人では、年間休日の中央値は116日、120日以上が44.4%、105日未満が14.1%でした。工種によっても差があり、土木は中央値115日、設備・管と電気・通信は120日です。休日の少なさは月給に反映されておらず、休日105日未満の求人の基本給は2.0万円高く出ますが、資格必須の求人が多く混ざっているため、休日を手放した見返りとは言い切れません。
つまり、小さい事業所が大きい事業所と比べられやすいのは、月給よりも休日です。休日の数字を求人票に具体的に書けるかどうかで、同じ規模の求人からも抜け出せます。年間休日の見せ方は求人票の年間休日は、日数より「閾値をまたぐか」で決まるで扱っています。
中小企業の施工管理の求人票で、確認する3点
ここからは、実査の数字を踏まえたリクプル編集部の考えです。
- 月給の水準を、同じ規模の中央値で確認する。就業場所19人以下なら基本給24.0万円、20〜49人なら23.0万円が目安です。大手の求人の金額だけを見て、月給を引き上げる判断をしない
- 就業場所の従業員数を求人票に書く。求職者は「中小かどうか」を会社名ではなく規模で判断します。顔の見える少人数の現場であることは、強みとして読まれる場合もあります
- 月給で並んだあとの差を、休日・資格取得支援・現場の動き方で書く。年間休日の数字、資格取得費用の負担、直行直帰の可否など、求人票の月給欄に出ない項目を数字で書きます
数字を読むときの注意
この実査は公的職業紹介1つの求人票に基づいていて、事業所規模は求人票の「就業場所の従業員数」の記載によります。100人以上は361件と薄く、さらに層別すると参考値以下になります。月給は下限額の比較で、賞与・手当・残業代の実支給額は含みません。規模別の差は、資格要件・工種・地域の構成の違いを含んだ数字で、規模そのものが月給を決めていると示すものではありません。
まとめ
- 施工管理の求人の88.7%は就業場所が49人以下。規模は会社全体ではなく働く事業所の人数で見る
- 基本給は19人以下24.0万円・20〜49人23.0万円・50〜99人22.1万円・100人以上22.0万円(100人以上は参考値)。小さい事業所のほうが高く出ている
- この差は資格や工種を揃えた比較ではないが、中小が月給で劣る前提は相場に現れていない
- 比べられやすいのは月給より休日。全産業の統計でも30〜99人の企業の年間休日(111.2日)は1,000人以上(117.7日)より短い
- 月給は同じ規模の中央値で確認し、休日・資格取得支援・現場の動き方を数字で書く
自社の施工管理の求人票を開いて、月給の根拠を大手の金額ではなく同じ規模の求人と比べたものになっているか、確認してみてください。